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「出際〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

出際の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
なんですからね」と意味あり気な警告を残して、法水は伸子の室を去った。しかし、その出際に、彼は異様に熱の罩もった眼で、扉並びの右手の羽目に視線を落した。そこには、....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
。 明日、午後三時より三時半までのあいだ、東二十四番街のリクリェーション埠頭の出際、「老鴉」なる酒場にてお待ち申しおり候、目印しは、ジルベーのジンと書いてある....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
泣いている声です。 竜之助は、それを忌々《いまいま》しい声だと思いました。人の出際にあたって、笑ってこれを送るというなら話になるが、泣いてこれを送り出すという....
黒百合」より 著者:泉鏡花
」 萱の軒端に鳥の声、という侘しいのであるが、お雪が、朝、晩、花売に市へ行く、出際と、帰ってからと、二度ずつ襷懸けで拭込むので、朽目に埃も溜らず、冷々と濡色を....
女難」より 著者:国木田独歩
、それとも酔いが醒めて藤吉が逆戻りしましたのか、おとなしく仕事に出て参りました。出際に上り口から頭を出して『お早よう』と言いさま、妙に笑って頭を掻いて見せまして....
かくれんぼ」より 著者:斎藤緑雨
めあれはと問えば今が若手の売出し秋子とあるをさりげなく肚にたたみすぐその翌晩月の出際に隅の武蔵野から名も因縁づくの秋子をまねけば小春もよしお夏もよし秋子も同じく....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
有合せの材料で何か作って、暮れぬ中にと急ぎます。乗物は人力車しかないのですから。出際にまたしても地響をさせて通る汽車に驚いて、「よくお兄様は我慢なさるのね」とい....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
時を指して言うのでしょう。子供などは人と人との間に挾まって動けない。どうかすると出際に混雑して踏み蹂られて死んだというような事も折々あるです。 日に三度ずつ僧....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
にこびりついていて、彼独特な調子も出ないのである。 「女を連れてまいるもよいが、出際になって、髪がどうの、帯がなんの、あれが、実に男にとっては、小焦れッたいもの....