出離[語句情報] » 出離

「出離〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

出離の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
は、三年生きぬと聞いている」と、藻の声はうるんでいた。 邪魔な梢の多いところを出離れたので、月はまた明かるい光りを二人の上に投げた。玉のような藻の頬には糸を引....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
そのいちばん冷たい呼吸を呼吸しているのだ。 私は君を忘れてはならない。もう港を出離れて木の葉のように小さくなった船の中で、君は配縄の用意をしながら、恐ろしいま....
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
土門の信心に御反対でございます。 僧二 放蕩をなさるのなら浄土門の信心でなくては出離の道はありますまいにね。 僧三 では悪くても救われるから悪い事もしてやれとい....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
じょうにして頂けるかと思うと、豪儀に風流でござんす」 行く程にやがて南部の郷を出離れました。離れてしまえば身延|久遠寺までは二里少し、馬返しまでは、その半分の....
モルモット」より 著者:細井和喜蔵
行ってチップで米代を稼いで来るのだった。 二 工場地帯をすっかり出離れて了った郊外まで行って、彼がやっと一摘みの青草をむしって帰ると、妻はもう仕....
平凡」より 著者:二葉亭四迷
|正面《まむき》になって了ったが何だか後髪を引かれるようで、俥《くるま》が横町を出離れる時、一寸《ちょっと》後《うしろ》を振向いて見たら、母はまだ門前に悄然《し....
雁坂越」より 著者:幸田露伴
よ、憎らしい。」 と誰に云ったのだか分らない語を出しながら、いかにも蓮葉に圃から出離れて、そして振り返って手招ぎをして、 「源三さんだって云えば、お浪さん。早く....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
房はさりとも知らざる状にて、殆ど足を曳摺る如く杖に縋りて歩行み行けり。 人里を出離れつ。北の方角に進むことおよそ二町ばかりにて、山尽きて、谷となる。ここ嶮峻な....
丹下左膳」より 著者:林不忘
て戸を閉《し》めた。 二人の足音が遠ざかって、そのうちに台所ぐちからでも屋敷を出離れて行ったけはい。 これを娘お艶の男の栄三郎と知らぬおさよは、ほっとしてま....
奥の海」より 著者:久生十蘭
いていないので、知嘉姫にめぐりあえるのかどうか、それさえも不明である。 千住を出離れたが、いよいよ数は増すばかり、難民の群れは奥州街道を埋めつくす勢いで、草加....
余齢初旅」より 著者:上村松園
連絡船 往路の長崎丸は静かな船旅であったが、帰途の神戸丸は上海を出離れるとすぐからすこしゆれだした。人々はすぐ寝こんだので私もそれにならい、つい....
中支遊記」より 著者:上村松園
連絡船にて 往路の長崎丸は静かな船旅であったが、帰途の神戸丸は上海を出離れるとすぐから少しゆられた。人々はすぐ寝こんだので私もそれにならい、ついに船....
知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
守氏邦の守りたるところなれば、このあたりはその頃より繁昌したりと見ゆ。 寄居を出離れて行くこと少時にして、水の流るるとおぼしき音の耳に入れば、さては道と川と相....
法然行伝」より 著者:中里介山
ぬ。永久に隠遁の心を遂げたいが為めでございます」と述べる。 少年にして、早くも出離《しゅつり》の心を起したのは誠にこれ法然道理の聖《ひじり》であると慈眼房叡空....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
時西行にひとしい思いを胸に秘めた人々は公家の間にも多くあったろうし、彼もしばしば出離を人に奨めている。しかも他の人は敢然とそれをなし得なかったのに、彼のみが決定....