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刀痕
「刀痕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
刀痕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
鳴るのみ。……」ウィリアムは急に眼を転じて盾の方を見る。彼の四世の祖が打ち込んだ
刀痕《とうこん》は歴然と残っている。ウィリアムは又読み続ける。「われ巨人を切る事....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
では無かった。資本主義も社会主義も有りはしない、そんなことは昼寝の夢に彫刻をした
刀痕《とうこん》を談ずるような埒《らち》も無いことで、何も彼も滅茶《めちゃ》滅茶....
「くろがね天狗」より 著者:海野十三
何も醒めはてた権四郎の同輩たちだった。前額から切りつけられて、後頭部まで真直な太
刀痕が通っているという物凄い切られ様をした権四郎の死骸の上に、同輩の一人がソッと....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
附け煙草がどうした。 ははあ――御簾《みす》の間《ま》から扇の間へ出る柱のあの
刀痕《かたなきず》――まざまざと眼の底には残るが、あれが机竜之助のした業だと誰が....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
くぼみ、残りの、皮肉に笑っている細い右眼から口尻へ、右の頬に溝のような深い一線の
刀痕がめだつ。
たそがれ刻《どき》は物の怪《け》が立つという。
その通り魔の....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
ら、その一撃は確かにその男を背骨まで切り下したことだろう。今でも看板の下側にその
刀痕が残っている。 この一撃が果合の終りであった。一度街道へ出ると、黒犬は、傷....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
らはあるがままに描写せられなければならない。筋を刻むだけでは影薄いであろう。その
刀痕《とうこん》のうちには痛烈なる散文の精髄を交じえなければならない。
専制君....
「秘密の庭」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
々しくいった。「オブリアン君は事実その――」 またもやノックの音がしてイワンが
刀痕のある顔を差出した。 「申上げます、ブレイン様はもうお帰りになりましてござい....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
ぱっちりした眼が、若松屋惣七の額部《ひたい》を凝視していた。眉《まゆ》のあいだの
刀痕《とうこん》をめざして、両方から迫りつつある若松屋惣七の眉毛が、だんだん危険....
「回想録」より 著者:高村光太郎
しかやらぬという位のものだ。仕上げの時には、木目に従って削って木目の自然に添って
刀痕が揃ってゆくという風にするのだが、本仕上げになると、
刀痕もなくなって了う位に....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
ていた。破戒無残なる堕落坊主。併し其眉毛は濃く太く、眼光は鋭く、額には三ヶ月形の
刀痕さえ有った。 水滸伝の花和尚魯智深も斯くやと見えるのであった。 「畜生、若....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
の優形で女の身の持ち方知らずに刃を下へ向けたところから、左手利きをそのまま出して
刀痕《あと》がのの字――。」 「おう、親分え。」と、戸口で大声がした。 「彦か、....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
横綴じの写本である。筆者は不明だが、釘抜藤吉の事件帖である。その筆初め「のの字の
刀痕のこと」の項に、親分藤吉の人物と名声をこう説明してあるのだ。それは以前、藤吉....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
呟いた藤吉、勘次の手から竹付きの首を受け取ったものの、顔面《かお》に千六本の
刀痕《かたなきず》、血に塗れ雨に打たれて人相も証拠も見られないとしるや、二、三寸....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
、彼の短い身体はすでに二つに折れて屍骸の上へ屈んでいた。致命傷ともいうべき咽喉の
刀痕へ人差指を突き込んでみて、その血の粘りを草の葉で拭うと、今度は指を開いて傷口....