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刃向う
「刃向う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
刃向うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「第五氷河期」より 著者:海野十三
予報が、このごろになって、やっと大分あたるようになったくらいだ。自然の大きな力に
刃向う人知の大きさは、人間に手向う蟻の力よりもはるかに小さい。いったい、このごろ....
「名君忠之」より 著者:夢野久作
るによって、万一御無礼でも致しましては……」 「イヤイヤ。要らざる遠慮じゃ。余に
刃向う程の小伜なればイヨイヨ面白い。コレ小僧。与一とやら。顔を見せい。余が忠之じ....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
をあげて、ダンスの時のような足ぶみをした。 「日本、働く人、やる。(立ち上って、
刃向う恰好)うれしい。ロシア、みんな嬉しい。バンザイ。――貴方方、船へかえる。貴....
「煩悩秘文書」より 著者:林不忘
恨みに思えばとて、相手は一藩の主、手前は郷士上りの一武芸者、竜車《りゅうしゃ》に
刃向う蟷螂《とうろう》のなんとやら、これでは、頭《てん》から芝居になりませぬ。あ....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
事を、余りにも深く確信していた。……同時にその二人が揃いも揃って、繊弱い女の手で
刃向うべく、余りに恐ろしい相手である事を、知って知り抜きながらも必死と吾児を抱き....
「微笑」より 著者:横光利一
たようだった。便便として為すところなき梶自身の無力さに対する嫌悪や、栖方の世界に
刃向う敵意や、殺人機の製造を目撃する淋しさや、勝利への予想に興奮する疲労や、――....
「青年」より 著者:森鴎外
も取って置いてくれいなんぞと云うことさえある。袖浦館の上から下まで、大石の金力に
刃向うものはない。それでいて、着物なんぞは随分質素にしている。今着ている銘撰の綿....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
こでせえでございます。源次郎は一刀の鍔前に手を掛けてはいるものゝ、気憶れがいたし
刃向う事は出来ませんで竦んで仕舞いました。 源「伯父様、私をどうなさるお積りで」....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
のがありとすれば、それは兵馬一人じゃ。同流の門下などは拙者を憎みこそすれ、拙者に
刃向うほどの大胆な奴はあるまいけれど、文之丞には肉親の弟なる兵馬というものがある....
「人造人間の秘密」より 著者:海野十三
人間の部隊は、いずれそのうち、欧洲戦線のどこかに、必ず姿をあらわして、ドイツ軍に
刃向う敵軍を、徹底的に圧迫するにちがいない。....
「日輪」より 著者:横光利一
悲しみは、突然|憤怒となって爆発した。それは地上の特権であった暴虐な男性の腕力に
刃向う彼女の反逆であり怨恨であった。彼女の眼は次第に激しく波動する両肩の起伏につ....
「じいさんばあさん」より 著者:森鴎外
刃が閃いて、下島は額を一|刀切られた。 下島は切られながら刀を抜いたが、伊織に
刃向うかと思うと、そうでなく、白刃を提げたまま、身を飜して玄関へ逃げた。 伊織....
「昭和遊撃隊」より 著者:平田晋策
聖な軍隊の守る神州を、君らの泥足で汚されてたまるものか。スミス中佐、君らは太陽に
刃向う世界の敵ですよ。」 中将は、威厳と情《なさけ》にかがやく眼で、スミス中佐....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
。甥とはいいながら師冬は養い子じゃが、おのれは現在の生みの子で、兄と一致して父に
刃向うとは……。おのれも勘当されたいか。」 「現在の娘なればこそ親の罪を救おうと....
「審判」より 著者:カフカフランツ
いた。 「なぜあなたがやきもちなんか焼くのか、私にもわかりませんね」と、ほとんど
刃向う様子もなく言った。 「私にもほんとうはわかりませんよ」と、Kは言い、微笑し....