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分け前
「分け前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
分け前の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
る唾棄《だき》すべき倦怠《けんたい》ばかりだった。倉地が葉子のその悲惨な無感覚を
分け前してたとえようもない憎悪《ぞうお》を感ずるのはもちろんだった。葉子はそれを....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
は策戦や、養子に蝶子と別れたと見せかけて金を取る肚やった、親爺が死ねば当然遺産の
分け前に与《あずか》らねば損や、そう思て、わざと葬式にも呼ばなかったと言った。蝶....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
吉なぞにはもう用が無いという顔をしている。それでは大吉も不承知です。おれに相当の
分け前をくれなければ、関口屋へ行っていっさいの種明かしをすると嚇かしたが、次右衛....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
なんにも貰わねえ」と、七蔵は微かに云った。 「嘘をつけ。てめえは喜三郎から幾らか
分け前を貰って、承知のうえ逃がしたろう。ここにいる女中が証人だ。どうだ。まだ隠す....
「恐竜島」より 著者:海野十三
した罰《ばち》さ、俺はそんなことはしねえ、お前たち二人に手つだってもらったんだ、
分け前はちゃんとやるよ」 「ありがとうございます」 「お礼をいうにゃおよばねえよ....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
んがね。いずれは大盲谷の油層が、われわれの手に入るだろう。しかし、そうなったとき
分け前が出るようじゃ、儂は馬鹿馬鹿しいと思うんだよ」 「へえ、というのはどういう....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
は決して自己の所有権を主張して、遺族らの発掘を拒んだり、あるいはその掘り出し物の
分け前を貰おうとしたりするような慾心を持たない。正面からその事情を訴えて交渉して....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
が、決して自分を呼び出しには来なかった。いろんないい品物は運び出されたが、自分の
分け前はない。これは全く偽毛唐が悪いのだ。彼は乃公に謀叛を許さない。謀叛を許せば....
「イワンの馬鹿」より 著者:菊池寛
お金が欲しいと思いました。そこでやはり父親のところへ出かけて行き、 「私にも私の
分け前を下さい。」 と言いました。 しかし父親はタラスにも分けてやりたくなかっ....
「アラビヤンナイト」より 著者:菊池寛
すが、あなた、これを陸へ持って上って、売ってくださいませんでしょうか。もちろん、
分け前はさし上げるつもりなんですが。」とのことなのです。 そこで、私は、 「そ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
に男のために殺されたのである。そうして、彼女を殺したものは私である。わたしの罰の
分け前は今や自分自身の上にかかっている。....
「穴」より 著者:岡本綺堂
分は決して自己の所有権を主張して、遺族らの発掘を拒んだり、あるいはその掘出し物の
分け前を貰おうとしたりするような慾心を持たない。正面からその事情を訴えて交渉して....
「女侠伝」より 著者:岡本綺堂
は、さきに旅人をぶち殺してその銀嚢を奪い取った土工の群れの一人であったのだ。彼は
分け前の銀をうけ取ると共に、娘を連れてその郷里を立去って、その銀を元手に旅商人に....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
いたらしいんだね。ところが前にその鉱区の共願者だった男が来て、鉱区が売れたのなら
分け前よこせというんで、そいつも相当なもんだ、三日間ねばった。市岡はむろん例の調....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
。もうそうなると、歌は芸術でないばかりか、数寄風流ですらない。それは唯京都文化の
分け前に与っているという自己満足の具となったのである。成り上り者の生活の装飾であ....