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分厚い
「分厚い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
分厚いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
がある。軽部は小柄な割に顔の造作が大きく、太い眉毛の下にぎょろりと眼が突き出し、
分厚い唇の上に鼻がのし掛っていて、まるで文楽人形の赤面みたいだが、彼はそれを雄大....
「宇宙女囚第一号」より 著者:海野十三
見せるつもりなんだろう。 この研究塔は、往来からもよく見えた。研究所のまわりは
分厚い背の高い壁にとりかこまれ、その境内は欝蒼たる森林でおおわれていた。そしてと....
「地球盗難」より 著者:海野十三
で呉れ。その方がお主のためでもあり、また皆のためじゃ」 大隅理学士は、とうとう
分厚い原書をパタリと閉めてしまった。どうやらこれはかなり重大な事件が発生したもの....
「わが町」より 著者:織田作之助
クタイのこのみがどうかまで、一眼でちゃんと見届けてやるんだと、二十五歳の元子は、
分厚い唇をとがらし、元子は実科女学校へ二年まで行ったのが自慢の、どちらかといえば....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
には、すっかり気を滅入らしていた。 四日目の朝、石子刑事は署内自分宛書留速達の
分厚い封筒を受取った。それは思いがけなく逃走中の支倉喜平から来たもので、巻紙に肉....
「野狐」より 著者:田中英光
を責める気になれない。 しかし、彼女がその一月の間に三夜ほど外泊し、その度に、
分厚い札たばを持ってきて、貯金したという話をきいて、私は愕然とした。彼女は悪い病....
「大阪発見」より 著者:織田作之助
して右肩下りの、線の崩れたようなからだつきは何かいろっぽく思えたが、しかし、やや
分厚い柔かそうな下唇や、その唇の真中にちょっぴり下手に紅をつける化粧の仕方や、胸....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
彼らが坑夫用の道具を自由に使っていたのは珍しいことではなかった。坑夫の使う燭台は
分厚い鉄でできていて、下端がとがって岩の中につき立てられるようになっている。
....
「雨」より 著者:織田作之助
ある。軽部は小柄なわりに顔の造作が大きく、太い眉毛の下にぎょろりと眼が突き出し、
分厚い唇の上に鼻がのしかかっていて、まるで文楽人形の赤面みたいだが、彼はそれを雄....
「図書館法楽屋話」より 著者:中井正一
これまで一番感動されたことは何ですか」とたずねたら、「小さい時、図書館へいって、
分厚い本を館員から渡されたときの、深い感動ほど、私をゆすったものはこれまでない」....
「ミケランジェロの彫刻写真に題す」より 著者:高村光太郎
面的顕現を統率する彫刻理法の中心につながり、その妙味の汲みつくし難い大洋のような
分厚い重さ、重畳たる山又山のような積みかさなりの深さは、まことに世界の中に形成せ....
「香魚と水質」より 著者:佐藤垢石
買う。しかも、錆鮎の頃と異なって、脂肪も去らず肩の付け根から胴へかけ、肉張りが充
分厚いのである。 季節によって、味に凋落高調のあるのは鮎ばかりではあるまい。ま....
「秋深き」より 著者:織田作之助
きなり女が口をはさんだ。斬り落すような調子だった。 風が雨戸を敲いた。 男は
分厚い唇にたまった泡を、素早く手の甲で拭きとった。少しよだれが落ちた。 「なにが....
「澪標」より 著者:外村繁
兄に連れられ、日の出を見に行った。門を出ると、幅二メートルばかりの川が流れてい、
分厚い花崗岩の橋がかかっている。向かいは悌二郎叔父の家である。空は既に明るかった....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
あった。まず私に与えられたのは、いわば当時の扇風機のモーター代わりの役目である。
分厚いどんちょうの端からたれ下がっているひもを、次の間からひいたり、ゆるめたりす....