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分取
「分取〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
分取の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「娘」より 著者:岡本かの子
ざと驚いた風をすると、女中がまたきゅうきゅうと笑う。蓑吉はもう大胆に取り澄して、
分取ったおもちゃを並べるのに余念ない風をしている。 室子の父の妾の子である蓑吉....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、その時には決して間違って居りませんので……。いよいよ舞台へ出るという間ぎわに多
分取り違ったか、掏り替えられたか。一体誰がそんなことをしたのか、まるで見当が付き....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
り速い巡航船の方をえらんだ……とわかった途端に、お前は流しの方へ逆戻った。が、何
分取締りがきびしくて、朦朧も許されず、浮かぬ顔をして、一里八銭見当の俥を走らせて....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
に対して狙撃もし、あるいはその道筋と諸所に陥隔を設けて露兵を陥殺するという策も随
分取り得られないとも限らない。かたがたチベットのごく内地とてもなかなか広いから―....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
堂々とそれをみせびらかして英雄気取になっていた。小さい木の机の中には、たくさんの
分取品がたまった。私はそれを級友にわけ与えて喜んだ。盗むことの喜びは、試験をカン....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
と云うのです。どうもね、前から怪しいと睨らまれていたらしいのです。おかみさんが随
分取りなして呉れましたが駄目です。頑として聞かないのです。あなたがお止めになるの....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
すと申すか、眼の配り、向う傷の塩梅、いちだんと胆も据っておりそうじゃ。見事に貸し
分取り立てて見するかな」 「御念までもござりませぬ。お墨付を蔑ろに致すは、即ち葵....
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
ないんです」 助「親方のように稼げば、銭に困ることはあるまいに」 長「銭は随
分取りますが、持っている事が出来ない性分ですから」 助「職人衆は皆な然うしたも....
「闇夜の梅」より 著者:三遊亭円朝
だ、手前《てめえ》の心に識別ウするから其様《そんな》事を吐《ぬか》すんだ、己が半
分取ったたア何だ、撲り付けるぞ」 番「打《ぶ》たいでも宜《え》え、私《あたい》....
「東洋文化史における仏教の地位」より 著者:高楠順次郎
にその事を申し送り一切経収容のことを希望された。然るに「今度の戦争は正義の戦争で
分取りに類することは一切しない。殊にシナの中立地帯からたとえそれが大切なものであ....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
だ。もっとも大概からまし合った凧は折れ破れて揚げることなど出来ぬものであったが、
分取品を得た誇りがあったのである。あまり大きい凧は不利益であった。まず西の内紙二....
「組合旗を折る」より 著者:永崎貢
深刻な顔付でこう言ったもんだ。 「ストライキ、これは資本家に対して、解雇手当を充
分取るための戦術だ。この不景気の際に、手当は充分出すと言うのだから、下手にまごつ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
《かく》れ家《が》を見つけ出した連中はいい気になってこの一角を占領して、美人連を
分取《ぶんど》ろうとの興味から、蟻《あり》の甘きに附くが如く、投げられようと払わ....
「光と風と夢」より 著者:中島敦
て身体の調子もずっと良いのだ。気分の波の高低はかなりあるにしても、精神の活気も大
分取戻しているのだ。風景などを眺めても、近頃は、強烈な其の色彩に、始めて南海を見....
「永日小品」より 著者:夏目漱石
電車賃が損になる。裁判に出ると、弁当代が損になる。機密費《きみつひ》は警視庁が半
分取ってしまうのだそうだ。余りを各警察へ割りふるのだそうだ。牛込には刑事がたった....