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分秒
「分秒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
分秒の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
の虚栄のあわれさであった。――時計は型が風変りだったのだ。 「拝見!」 時間や
分秒のほかに、日付や七曜が出て来るその時計を、覗こうとすると、 「見にくいでしょ....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
這《は》いでもできれば、俺は往くんだのに……」
万斛《ばんこく》の恨みが、いま
分秒ごとに消えてゆく雪橋《はし》のうえに注がれている。援蒋ルートをふさぐ……九十....
「河明り」より 著者:岡本かの子
はきまっているからと云って男は朗に笑った。 私は男がこの座敷へ近寄って来る僅か
分秒の間に、男の方はちらりと一目見ただけで、娘の態度に眼が離せなかった。 彼女....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
いたり、雷を鳴らしたり、夕立になったり、虹を見せたり。而して急に青空になったり、
分秒を以てする天空の変化は、眼にもとまらぬ早わざである。夏の天に目ざましい変化が....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
かなるものであるか。友であるとみずから思ってる人も、その生活の幾何《いくばく》の
分秒を、自分の友の蒼《あお》ざめた思い出に分かち与えるであろうか。必要でさえもな....
「死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
、昔は私も他の人々と同じように一人前の人間だった。どの日にも、どの時間にも、どの
分秒にも、それぞれの思いがあった。私の精神は若くて豊かで、気まぐれな空想でいっぱ....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
ず聞えずに流れ、館の噴水は見えず聞えずに落ち、――どちらも、時の泉から流れ落ちる
分秒のように、溶け去った。それから、その二つの灰色の水が薄明りの中に幽霊のように....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
家の雨戸へもたれ、ハッハッハッと大息をついた。が、それとても間ともいえない、短い
分秒の間であった。
「…………」無言ながらも掛け声よりも凄く、殺気に充ちた兵馬の....
「魔都」より 著者:久生十蘭
ものはまさに破竹の勢い、実に以て察するに余りあるので……。
時計の振子は正確に
分秒を刻み、その音は一同の耳にはさながら轟くが如くに聞きなされる。泣いても喚いて....
「太陽系統の滅亡」より 著者:木村小舟
く述ぶるとともに、暫時その咽喉を湿すべく、冷水の杯を手にしたのであったが、かかる
分秒時とも、彼らの聴衆は静かに俟つだけの時間を有さなかったのである。 「弁士! ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
らと見せるとおもえば、早くもお藤を小脇に抱き、身を飜えして部屋を出でぬ。まことに
分秒電火の働き、一散に下階へ駈下りて、先刻忍びし勝手口より、衝と門内に遁れ出づれ....
「かもめ」より 著者:神西清
もありはしない。お前のなかに、命の目ざめるのを恐れて、永遠の物質の父なる悪魔は、
分秒の休みもなしに、石や水のなかと同じく、お前のなかにも、原子の入れ換えをしてい....