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分譲地
「分譲地〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
分譲地の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「接吻を盗む女の話」より 著者:佐左木俊郎
た。 彼女は、不愉快な自分の気持ちを紛《まぎら》わそうとして、恵子の手を引いて
分譲地の荒れ野原の方へ出て行った。 恵子は、母親の前に立って駈け歩いた。すると....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
飛んで来る鳶は近所の西郷山に巣を作っているらしい。その西郷山もおいおいに拓かれて
分譲地となりつつあるから、やがてはここらにも鳶の棲家を失うことになるかも知れない....
「東京八景」より 著者:太宰治
した。言約を潔癖に守る兄である。Hはのんきな顔をしてやって来た。五反田の、島津公
分譲地の傍に三十円の家を借りて住んだ。Hは甲斐甲斐しく立ち働いた。私は、二十三歳....
「からたち」より 著者:宮本百合子
この下の弟は十年ばかり前、思想的な嵐の裡で自身の命を終った。 須藤さんの杉林は
分譲地となって邸宅が並び、松平さんの空地は、九尺ばかりのコンクリート塀で囲われた....
「犬三態」より 著者:宮本百合子
この辺一帯の地価に対して高すぎる、だから売れない。そんな噂があって、区画整理した
分譲地もそこここまばらに住む人が出来ただけで数年が経過していた。すると、一昨年あ....
「田端の汽車そのほか」より 著者:宮本百合子
門というあかじや銀行のもち主がそこを買いしめて、情趣もない渡辺町という名をつけ、
分譲地にしたあたり一帯は道灌山つづきで、大きい斜面に雑木林があり、トロッコがころ....
「あとがき(『宮本百合子選集』第三巻)」より 著者:宮本百合子
日かげの、あわれはかない人々の人生の姿もある。「牡丹」は、駒沢の奥のひっそりした
分譲地の借家に暮していたころ、その
分譲地のいくつかの小道をへだてたところにある一....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
れて行ってかの女と逸作が一昨年|帰える時、息子ばかりが巴里に残った。 かの女が
分譲地の標札の前に停って、息子に対する妄想を逞しくして居る間、逸作は二間|程離れ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
も材木一本手入れせぬ。(壺井さんの例)景気が片よってよいのと、空襲をおそれて郊外
分譲地はこの何年にもなかった売れようです。一反百円の着物(それも女もの)が大百貨....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
から、心覚えの道を原っぱの方へ歩いたら、好きだった小高い芝山のところが、すっかり
分譲地になっていて、小さい家が建っていて、ワイシャツにエプロンというような二人が....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ですって。学校のそばの疎開も、こわしの方は完成して、すっかり建ったばかりの家々(
分譲地でしたから)もこわれ、材木の山と化しました。目白も沿線はこわれて陸橋の左右....
「霊感」より 著者:豊島与志雄
ど、思いようではやはり気にかかります。 それからふと思い廻してみますと、そこの
分譲地に建ってる六軒の家に、みな、ろくなことはありませんでした。一軒は、夜盗がは....
「火の扉」より 著者:岸田国士
このあたりは、東京から一時間という郊外電車の沿線で、数十年前に植林を切りひらいた
分譲地であるが、住宅はまだ建ちそろわず、道路だけは広く縦横に通じているけれども、....
「双面獣」より 著者:牧逸馬
い勾配をもって起伏する野面の所どころに、伐り残された雑木林が散らばり、土地会社の
分譲地の札が立っていたり、あちこち粗らに人家が集団《かた》まっていたりする、代表....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
でそのカーヴの線と表通りの直線とに挟まれて三日月形になった空地がある。信託会社の
分譲地の柱が立っている。ふさがっているのは表通りの右端の二区切りだけで、あとは古....