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「切に〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

切にの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十円札」より 著者:芥川竜之介
は薄暗い二等客車の隅に発車の笛を待ちながら、今朝《けさ》よりも一層《いっそう》痛切に六十何銭かのばら銭《せん》に交《まじ》った一枚の十円札を考えつづけた。 今....
首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
》した調子で、微笑しながらこう云った。 「我々は我々自身のあてにならない事を、痛切に知って置く必要がある。実際それを知っているもののみが、幾分でもあてになるのだ....
お時儀」より 著者:芥川竜之介
いことがあると、何か失望に似たものを感じた。何か失望に似たものを、――それさえ痛切には感じた訣《わけ》ではない。保吉は現に売店の猫が二三日行くえを晦《くら》まし....
捨児」より 著者:芥川竜之介
げふじん》が五百人の子とめぐり遇った話を引いて、親子の恩愛が尊《たっと》い事を親切に説いて聞かせました。蓮華夫人が五百の卵を生む。その卵が川に流されて、隣国の王....
少年」より 著者:芥川竜之介
ったのは少しでも保吉の教育に力を添《そ》えたいと思ったのであろう。彼もつうやの親切には感謝したいと思っている。が、彼女もこの言葉の意味をもっとほんとうに知ってい....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
とだけは確かである。もしそれだけでも確かだとすれば、人間らしい感情の全部は一層大切にしなければならぬ。自然は唯《ただ》冷然と我我の苦痛を眺めている。我我は互に憐....
出帆」より 著者:芥川竜之介
気がついて見ると、船と波止場との距離が、だいぶん遠くなっている。この時、かなり痛切に、君が日本を離れるのだという気がした。皆が、成瀬君万歳と言う。君は扇を動かし....
二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
を売りつけられた私の友人夫婦が何かの都合で行かれなくなったために、私たちの方へ親切にもまわしてくれたのです。演芸会そのものの事は、別にくだくだしく申上げる必要は....
忠義」より 著者:芥川竜之介
も松平|兵部少輔《ひょうぶしょうゆう》は、ここへ舁《かつ》ぎこむ途中から、最も親切に劬《いたわ》ったので、わき眼にも、情誼の篤《あつ》さが忍ばれたそうである。 ....
」より 著者:芥川竜之介
を勧《すす》めたりした。「金の工面《くめん》などはどうにでもなる。」――そうも親切に言ってくれたりした。が、たとい旅行に行っても、わたしの憂鬱の癒《なお》らない....
近藤浩一路氏」より 著者:芥川竜之介
れるのは愉快である。 今日の流俗は昨日の流俗ではない。昨日の流俗は、反抗的な一切に冷淡なのが常であった。今日の流俗は反抗的ならざる一切に冷淡なのを常としている....
」より 著者:秋田滋
のです。 わたくしは、その晩、夜一夜、ちょうど愛の抱擁をした人間が女の体臭を大切にもっているように、その腐肉の悪臭、腐って行くわたくしの愛人の臭いを大切にまも....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
も今に残っているそうであるが、公表されてはおらぬ。 デビーは返事をよこして、親切にもファラデーに面会してくれた。この会見は王立協会の講義室の隣りの準備室で行わ....
三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
お神さんの読んだ時と文句がちがうので大変に困りました。 「何しろ、拾った人に、親切にしてくれろってことだべい。」 と太郎右衛門が言うと、お神さんも、 「そんだ、....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
ら帽をかむった労働者の一人は矢張槌を動かしたまま、ちょっと僕の顔を見上げ、存外親切に返事をした。 「これですか? これは蔵前橋です。」 僕等はそこから引き返し....