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切らず
「切らず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
切らずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
うと眠ってしまった。すると、――おのずから目を醒《さ》ました。夜《よ》はまだ明け
切らずにいるのであろう。風呂敷《ふろしき》に包んだ電燈は薄暗い光を落している。僕....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
は日本人には無い。それでは一円五十銭ずつ遣ろう」といっても、彼等はいつまでも煮え
切らずブツブツいっているので、髯将軍の癇癪《かんしゃく》玉が忽《たちま》ち破裂し....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
衛門はまた白状する機会を失って、それをいいしおに嘘だとも本当だとも、はっきり言い
切らずに別れてしまった。 「おれも昔は男を売ったものだが……」と、彼は過去のおの....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
うまで生長し自由になった個性の拡充を指しているのだ。愛なきが故に、個性の充実を得
切らずに定命なるものを繋いで死なねばならぬ人がある。愛あるが故に、個性の充実を完....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
聞いていた。 「隅田の国の方の人が来るとすぐ、私をつかまえて、おやお前はまだ髪を
切らずにいるんかい、と言うんでしょう。私、今時まだこんなことを言う人があるのかと....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
を廻すと、この通り糸が鍵を引いて回転させるので掛金は下りるが、鍵の押金は下へ降り
切らずに中途で糸に支えられる。で、その次に、鍵穴を通った糸を引くんだ。無論鍵の輪....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
ったのです。それからあなたさまにはたいへんお気の毒ながら、その告白書の一部が燃え
切らずに残っていましてね――あの黒い灰を灰皿から横へ移してみて始めて分ったのです....
「女客」より 著者:泉鏡花
一 「謹さん、お手紙、」 と階子段から声を掛けて、二階の六畳へ上り
切らず、欄干に白やかな手をかけて、顔を斜に覗きながら、背後向きに机に寄った当家の....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
の人々、本願寺|詣の行者の類、これに豆腐屋、魚屋、郵便配達などが交って往来引きも
切らず、「早稲の香や別け入る右は有磯海」という芭蕉の句も、この辺という名代の荒海....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
ッて帰ったがね。」 いいいい、くるりと身をかえして立つと、踞んでいた腰を伸ばし
切らず、直ぐそこに、てらてらの長火鉢。 「誰方でございますえッて聞いたら、何にも....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
方から盛に曳込んで来る乗込客、今度は五六台、引続いて三台、四台、しばらくは引きも
切らず、がッがッ、轟々という音に、地鳴を交えて、慣れたことながら腹にこたえ、大儀....
「妖怪学」より 著者:井上円了
ら「法性寺入道前関白太政大臣様」といおうの――「法性寺入道前関白|云云」と呼気を
切らずに三遍くり返しいうときは、落つるなり。 (七)やけどを治する呪術 「....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
とやらが流行するから自分も一つ作って見たといって、「月落烏啼霜満天寒さ哉――息を
切らずに御読下し被下度候」と書いてあった。当時は正岡子規がマダ学生で世間に顔出し....
「露伴の出世咄」より 著者:内田魯庵
硬軟兼備のその頃での大宗師であったから、門に伺候して著書の序文を請うものが引きも
切らず、一々応接する遑あらざる面倒臭さに、ワシが序文を書いたからッて君の作は光り....
「西航日録」より 著者:井上円了
新し、花の色麦の色にすでになごりの春を知る。この壮大な旅ではまだ風流心の癖がぬけ
切らず、来印河のほとりに故人(ゲーテ、シラー)の跡をおとずれたのである。) 翌....