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切れっ端
「切れっ端〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
切れっ端の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
でもはずしてマストに縛りつけたものであろう。わずかにデッキの上でバタバタと、その
切れっ端《ぱじ》が洗濯《せんたく》したおしめのように振れていた。 それにしても....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
衛門よ」と、半七は笑った。「すべって転ばねえのがお仕合わせだ。なんでもいいから、
切れっ端か麻をすこしくんねえか」 「あい、ようがす」 店の炉のまわりに胡坐をか....
「千鳥」より 著者:鈴木三重吉
ててあることはついに見られない。姉は十一で死んだ。その後家じゅうに赤い切れなぞは
切れっ端もあったことはない。自分の家は冬枯れの野のようだとつくづくそう思う。その....
「赤い貨車」より 著者:宮本百合子
のモスクワ式ごろた石の通路では、花キャベジの葉っぱ、タバコの吸殻、わら屑、新聞の
切れっ端が踏みにじられていた。魚売店からきたなく臭い水がごろた石の間を流れた。市....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
く、白紙のように、ざらついて、気味の悪いほど乾いている、足許の黄花石楠花が、焔の
切れっ端のように燃え出した、「はあれ、きれいな御光だ」と感嘆している嘉門次の顔も....
「暗号の役割」より 著者:海野十三
へ九十度廻すのである。すると、 “前島セン一と偽名し富子という女を連れ”と文章の
切れっ端が出てくる。 次はまた左へ九十度廻して(3)なる向きで文字を拾いその次....
「浚渫船」より 著者:葉山嘉樹
っ腹へ、眠りこけていた。 私は両手で顎をつっかって、運河の水を眺めていた。木の
切れっ端や、古俵などが潮に乗って海から川の方へ逆流して行った。 セコンドメイト....
「糸くず」より 著者:国木田独歩
れは死んだ。そして最後の苦悩の譫語にも自分の無罪を弁解して、繰り返した。 『糸の
切れっ端――糸の
切れっ端――ごらんくだされここにあります、あなた。』 (三十一年三月作)....
「醤油仏」より 著者:吉川英治
みると、丑がみんなの前に皺をのばして見せつけているのは、乾物袋になっていた番附の
切れっ端「御世泰平|鼓腹御免、大江戸大食番附」 という反古だった。 近年、柳....
「はつ恋」より 著者:神西清
と一休み横になると言い出した。夜の十一時過ぎに夜食が出て、古いひからびたチーズの
切れっ端と、ハムを刻み込んだ妙に冷たい肉饅頭とだけだったが、それがわたしには、ど....
「野宿」より 著者:山之口貘
ろう!」 巡査は、ペンをおいて、名刺よりは一まわり大きいかに見えるその日本紙の
切れっ端をぼくに寄越したのである。それには、「右ノ者社会主義者ニアラザルコトヲ証....