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切下げ髪
「切下げ髪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
切下げ髪の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「家」より 著者:島崎藤村
。 「此頃は君、大変な婦人が僕の家へ舞込んで来ました」と三吉が言ってみた。「――
切下げ髪にして、黒い袴を穿いてネ。突然入って来たかと思うと、説教を始めました。恐....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
なさい」 小僧たちの雷のような喚《わめ》きに迎えられて、この店へ入って来たのは
切下げ髪に被布《ひふ》の年増《としま》、ちょっと見れば大名か旗本の後家《ごけ》の....
「渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
むずむずと動く気勢《けはい》がした、その瞬間、正隆は永年の習慣から、ふとそれが、
切下げ髪の母未亡人であるような気がした。 「水……」 黙ってコップを差出した人....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
た」 「何かあのお方が悪いことをしたの」 「悪いことと言ったって、お前、品の好い
切下げ髪の奥様を捉まえてね、あの若いくせに狼藉《ろうぜき》をしようというんだから....
「この初冬」より 著者:宮本百合子
で過ごし、そういう時は、私に髪を結わせるのが祖母の楽しみらしかった。髪と云っても
切下げ髪であった。それをよく櫛で揃えてとめるだけだったけれど、祖母の頭には一つ割....
「日記」より 著者:宮本百合子
た、激しい活々したところはなくなってしまった。安藤さんは、一寸芝居の子役のような
切下げ髪の子を前に置き、「さようですか」と云う。何だか皆つっこんだ処なくて淋し。....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
も熊、荒熊の如き武者修業の背後から、何の躊躇もなく鎌の刃を引掛けたが、尊き女※の
切下げ髪、紫の打紐にキリキリと巻いたるにさえ、焚籠めてある蘭麝待の名香。ついそれ....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
いる。 入口に近い、南洋杉《アロオカリヤ》の鉢植えのそばの椅子には、恰幅のいい
切下げ髪のご隠居さまと、ゴツゴツした手織り木綿の着物に、時代のついた斜子《ななこ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
う。お幾歳じゃ。……ほう、笑っておるがの」 歩み歩み、後から尾いて来た品のよい
切下げ髪の老婆が、朱実の背をのぞいてあやした。よほど子好きな刀自とみえ、供の下男....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
過去の民衆の好みどおり、男が美しくて、強くて、颯爽としていて、鎖帷子に黒羽二重、
切下げ髪という拵えに出来あがっている。 しかし、こういう概念で武蔵を考えていた....