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切出し
「切出し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
切出しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高野聖」より 著者:泉鏡花
《いつかかえ》もあろうという一本の檜《ひのき》の、背後《うしろ》へ蜿《うね》って
切出したような大巌《おおいわ》が二ツ三ツ四ツと並んで、上の方へ層《かさ》なってそ....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
単身機内へ乗込んで、ケノフスキーに面会することができた。かれは、短刀直入に用件を
切出した。 ケノフスキーは赤い海象《せいうち》のような顔をゆがめて愕いたが、そ....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
にかく、綺麗なものであった。 「しかし、この子が役者になる時は、先生から入費は一
切出して下さるようになるんでしょう、ね」と、お袋はぬかりなく念を押した。 「そり....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
が同時に落ち合ったのは何かの縁かも知れないと思ったので、庄屋はともかくもその話を
切出してみると、蛇吉は二つ返事で何分よろしく頼むと答えた。女は三十七で自分よりも....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
に云ったが、何を思ったか形を改めて云った。 「ねえ、奥さん」 浅田は形を改めて
切出した。 「ねえ、奥さん。こんな事を云っちゃなんですけれども、支倉さんはそう頼....
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
人口二百七十ばかりで、田畑が少のうございますから、温泉宿の外は近傍の山々から石を
切出したり、炭を焼いたり、種々の山稼ぎをいたして活計を立っている様子です。此の所....
「土鼠と落盤」より 著者:黒島伝治
に彼女を見ていたゞけだった。まもなく彼は、話があるから廃坑へ行かないかと、彼女に
切出した。 「なアに?」 彼女は、あどけない顔をしていた。 「話だよ。お前をか....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
ございます。 それに丁どこの御山の石の門のようになっております、戸室口から石を
切出しますのを、皆馬で運びますから、一人で五|疋も曳きますのでございますよ。」 ....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
工に、巧を凝らして、千道百綱を虹のように。飾の鳥には、雉子、山鶏、秋草、もみじを
切出したのを、三重、七重に――たなびかせた、その真中に、丸太|薪を堆く烈々と燻べ....
「小公女」より 著者:菊池寛
、ベッキイはまるで熱に浮かされたようでした。セエラは戸棚から厚く切ったお菓子を一
切出して、ベッキイにやりました。セエラは、ベッキイがそれをがつがつ食べるのを、う....
「虎」より 著者:岡本綺堂
上げると、漁師たちもようよう納得しそうになった。と思うと、その横合いから十五両と
切出した者がある。それは奥山に、定小屋を打っている由兵衛という興行師であった。友....
「丹那山の怪」より 著者:江見水蔭
那の山に入ってからは、幾度となく駕の側まで来て、何か訴えたいような表情をしては、
切出しかねて、又見えなくなった。しかもその顔色が土気色をしていて、月代が延びて、....
「稀有の犯罪」より 著者:小酒井不木
「まったくだ。けれど、教授は俺が番をしている間、神妙にしていたよ。それにしても
切出しは随分長くかかったもんだ」 「俺も本当に気が気でなかった。……時にぼつぼつ....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
ょう、御婦人には芝居と南瓜が何よりの御馳走だ。) 馬鹿も通越した、自棄な言句を
切出して、 (ご贔屓の路之助が出ています。) 役者を贔屓とさえいっておけば間違....
「久保田米斎君の思い出」より 著者:岡本綺堂
本の芝居の道具は五分やそこらで飾れるものじゃありません。立木なんかでも外国のは「
切出し」といって正面からそう見える板なんですが、日本では本物と同じような丸の木を....