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切口上
「切口上〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
切口上の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「佐渡」より 著者:太宰治
で私は、ばかに行儀正しくなっていた。女中さんにも、棒を呑んだような姿勢で、ひどく
切口上な応対をしていた。自分ながら可笑《おか》しかったが、急にぐにゃぐにゃになる....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
と口のうちで繰返す。そのうちに幕がしまると、その亭主は藤崎さんの方へ向き直って、
切口上で訊きました。 「あなたは先程から頻りに山崎屋をまずいの、下手だの、大根だ....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
見という所の校長は県の教育界でも有名な老教員だが、銀のような白い髯をなでながら、
切口上で、義務とでも思っているような質問をした。肥った教授は顔に微笑をたたえて、....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
が運ばれた。赤児の風呂桶大の飯櫃が持て来られる。食事|半に、七右衛門爺さんが来て
切口上で挨拶し、棺を舁いで御出の時|襷にでもと云って新しい手拭を四筋置いて往った....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
懃な態度に出たのは、人は須らく渠等に対して洋服を着るべきである。 赤ら顔は悪く
切口上で、 「旦那、どちらの麁※か存じましないけれども、で、ございますね。飛んだ....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
をした。 (ああ、ちょうどいま繋った。) (どうした故障でございますか。) と
切口上で、さも心配をしたらしい。たのもしいじゃあございませんか。 (網掛場の先の....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
片足|遁構えで立っていた。 「今晩は。」 「はい、今晩は。」 と平べったい、が
切口上で、障子を半分開けたのを、孤家の婆々かと思うと、たぼの張った、脊の低い、年....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
』 『否。そは断じて事実にあらず。』 会話の速度が早まるにしたがい、私は一そう
切口上だ。床屋は非常に不服そうな顔をしている。 『そうですかねえ――ばかに暑いっ....
「野ざらし」より 著者:豊島与志雄
室から達子が出て来た。 「いらっしゃい。」 下唇の心持ち厚い受口から出る、多少
切口上めいた語尾のはっきりした言葉で、彼女は昌作を迎えておいて、其処に坐った。そ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
イエ、あなたには関係のない私たちのお客さま」 オセッカイは無用といわんばかりの
切口上であった。誰かと思えば、松川花亭ではないか。しかし今さら、花亭の如き一ツを....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
くと、サッと顔色を変えて、肘掛椅子から立ち上ると、 「では、どうぞご自由に。」と
切口上だった。 新子が出て行くと、夫人は左右の手の中指と母指とを、タッキタッキ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
しやってある。 「せっかくおやすみのところをお邪魔でした。」 俊亮も、いくぶん
切口上で言って、敷かれていた座蒲団の上に坐った。次郎は座蒲団を前にして坐っている....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
といわれました。 兄は電話での応対なども下手でした。電話へ出ると、平常と違った
切口上になるのでした。兄は数学というものが不得手なので、電話番号が覚えにくいらし....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
免下さいまし。」 「はい。」 「ええ、お友達、御免下さいまし、御当家、」と極って
切口上で言出した。調子もおかしく、その蝙蝠傘を脇挟んだ様子、朝夕立入る在来の男女....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
くしていたのである。しかも彼が今日の態度は平素と全然変わっていた。彼はよそ行きの
切口上で最初から挨拶した。だんだん話してゆく間に、わたしたちのような局外者のかい....