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切札
「切札〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
切札の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「モルグ街の殺人事件」より 著者:佐々木直次郎
た》の揃《そろ》え方を考え、ときどき持主が一枚一枚を眺める眼つきから、一つ一つの
切札や絵札を数える。彼は競技の進行中ずっと、顔のあらゆる変化に注意し、確信や、驚....
「爬虫館事件」より 著者:海野十三
に容易ならぬ周到な計画を持っていたものと思われる。 そこで帆村は大事にしていた
切札を、ポイと投げ出す気になった。 「北外さん。隣りの爬虫館の蟒どものことですが....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
法水は満足そうに頷いて、事務机の抽斗から一葉の写真を取り出した。「いよいよ最後の
切札を出すことにするかな。ところでこの写真は、鐘鳴器室の頭上に開いている十二宮の....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
にそれを話さなかった。竹三郎は、いろいろな仕事に失敗して、とうとう、一番、最後の
切札に、この三号品を扱い出した。当初、売行が悪いのに、苦るしんだ。何もかも、すべ....
「正義と微笑」より 著者:太宰治
「なあに」なんて言って居られぬ。もう道が無いのだ。何もないのだ。ぎりぎりの最後の
切札ではないか。とても、のんきにしては居られぬ。僕は、すっかり、まじめになってし....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
を言うと、プウシキンはアラビヤ馬とはどんな馬なのか、一向に見わけがつかず、骨牌の
切札とは、どんなものをいうのか、知りもしなかった。一番ひどいのは料理の事で、仏蘭....
「現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
めの資本主義の最後の手段である処の、従ってブルジョアジーにとっては最後の絶対的な
切札でなければならぬと思われる処の、このファシズムも、特にわが国などに於ては、ブ....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
らに裸体を見せるのが無芸の至り。美は感情との取引だ。見せ方の問題であるし、最後の
切札というものは、決してそれを見せなくとも、握っているだけで効果を発揮することが....
「株式仲買店々員」より 著者:ドイルアーサー・コナン
す。私にはそれより外に出来ることがあるとは思えなかったんです。けれども、もし私が
切札をなくしてその代りに何もとらなかったら、私は自分を、何と云う馬鹿な英国人だろ....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
等感によって、その優越を示すには、外国文学の名に於て日本文学を否定するという妙な
切札しか持たないのである。 大阪にミジメなものがあるとすれば、東京を意識しすぎ....
「天衣無縫」より 著者:織田作之助
の人は京阪電車に乗っている。じつは約束を忘れたわけではなく、それどころか、最後の
切札に、大阪の実家へ無心に帰るのである。たび重なって言いにくいところを、これも約....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
をやりだす気なのやら、はたの者にはてんから見当もつかぬ始末だった。まるでカルタの
切札みたいにのさばり返って、店のことから内証向きのことまで万事ばんたん采配をふる....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
薄くなると、彼は定まって、伊左衛門に扮した。しかも、彼の伊左衛門役は、トラムプの
切札か何かのように、多くの見物と喝采とを、藤十郎に保証するのであった。 が、彼....
「はつ恋」より 著者:神西清
次から次へと披露したが、あげくの果てにカードをよく切ってから、札を四人に配る時、
切札を全部わが手に収めてしまったので、ルーシンは『僭越ながら祝辞を述べる』ことに....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
も心を決めた。 『それほどいうなら、この体で宿賃を払おうじゃないか』とっておきの
切札である。番頭は引下がった。あとから西豪州の真珠貝取りにいってもらおうという。....