切歯[語句情報] » 切歯

「切歯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

切歯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
義血侠血」より 著者:泉鏡花
て、手を揮《ふ》り、声を揚《あ》げ、思うままに侮辱して駈け去りぬ。 乗り合いは切歯《はがみ》をしつつ見送りたりしに、車は遠く一団の砂煙《すなけぶり》に裹《つつ....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
できぬ、と考えた。といってそこは、万嶽雲にけむる千三百キロのかなたである。彼は、切歯扼腕《せっしやくわん》、歯噛《はが》みをして口惜しがったのだ。 するとそこ....
奴隷根性論」より 著者:大杉栄
が自殺しまたは自ら傷つけて不具になった。そしてその後数年間、国民は毎年その日に糸切歯を抜いて、タメハメハを祭った。 ベナン族の酋長の葬式には、墓の側に徳利形の....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
だった。 「浅川は、司令部の御命令で、昨夜は、立川飛行聯隊の宿舎に閉じこめられ、切歯扼腕していました。この上は、早く敵機に、めぐり逢いたいであります」 小さい....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
りに、当然そこに歯痕のあるべき皮膚面が抉ったように切れこんでいた。恐らく上顎の糸切歯がここに喰いこんで、四郎少年の皮膚と肉とを破り、頸動脈をさえ喰い切ったのであ....
蠅男」より 著者:海野十三
て帆村を嘲笑するかのように悠々とスピードをあげて走っていく。 帆村は文字どおり切歯扼腕した。もうこうなっては、残念ながら人間の足では競争が出来ない。 何か自....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
ンの晩年の悲運を思わせる、か細く丸く尖った顎を内へ引いて苦笑した。稚気を帯びた糸切歯の根元に細い金冠が嵌っている。かの女は急に規矩男が不憫で堪らなくなった。かの....
川中島合戦」より 著者:菊池寛
るばかりである。そのうち朝霧のはれた川中島の彼方から吶声、鉄砲の音がきこえるので切歯して、十将が川中島を望んで馳け降りた。かくて、最も近い徒渉場たる十二ヶ瀬を渡....
桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
政次、重休、季忠三士の首が今川の本営に送られた事を善照寺に在って聞いた信長が切歯して直にその本軍をもって今川軍に向わんとしたのも無理はない。林通勝、池田信輝....
島原の乱」より 著者:菊池寛
処に死のうとの血相|凄まじい有様を貞清見て、貝を吹いて退軍を命じ、犬死を誡めて、切歯するのを無理に伴い帰った。全線に亙り戦いも午刻には終ったが、寄手は四千余の死....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
からない、ええ悔しいな、たとえ中途で取殺されるまでも、お参をせずに措くものかと、切歯をして、下じめをしっかりとしめ直し、雪駄を脱いですたすたと登り掛けた。 遮....
露肆」より 著者:泉鏡花
刃を落した時、赫と顔の色に赤味を帯びて、真鍮の鉈豆煙草の、真中をむずと握って、糸切歯で噛むがごとく、引啣えて、 「うむ、」 と、なぜか呻る。 処へ、ふわふわ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
二年級のおさらいをするのが聞える。あれだから母親は本当にしないのだと、隣近所では切歯をしてもどかしがった。 学校は私立だったが、先生はまたなく滝太郎を可愛がっ....
活人形」より 著者:泉鏡花
感心な女だ。その性根にすっかり惚れた。柔順に抱かれて寝る気は無いか。と嘲弄されて切歯をなし、「ええ汚らわしい、聞とうござんせぬ。と頭を掉れば嘲笑い、「聞きとうの....
西航日録」より 著者:井上円了
内閣を団成し、中央のテーブルと相合して梅花状をなし、悲憤のあまり口角泡を飛ばし、切歯腕を扼し、日本男児の真相を演ずることあるも、局勢たちまち一変して、棋戦となり....