切立て[語句情報] »
切立て
「切立て〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
切立ての前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
所に附いて、薄暮合いに蹴込が真赤で、晃々輪が高く廻った、と思うと、早や坂だ。――
切立てたような、あの闇がり坂、知ってたっけか。」 「根岸から天王寺へ抜ける、細い....
「うつり香」より 著者:近松秋江
コート一枚拵えてはやらなかった。それに三、四度逢ったばかりの蠣穀町の売女風情に探
切立てをしていくら安物とはいいながら女の言うがままにコートを買ってやるなんて、ど....
「新世帯」より 著者:徳田秋声
は、埃の被らぬように、御馳走の上に被せて行いていた。新吉は気がそわそわして来た。
切立ての銘撰の小袖を着込んで、目眩しいような目容で、あっちへ行って立ったり、こっ....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
傷で、何故早く云わん、それじゃア狼藉者が忍び込み、飯島が流石手者でも多勢に無勢、
切立てられているのを、お前が一方を切抜けて知らせに来たのだろう、宜しい、手前は剣....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
と雷の鳴返すごとく少年の耳を打つ!…… 「お煎をめしあがれな。」 目の下の崕が
切立てだったら、宗吉は、お千さんのその声とともに、倒に落ちてその場で五体を微塵に....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
渚へは、浦の波が、静に展いて、忙しくしかも長閑に、鶏の羽たたく音がするのに、ただ
切立ての巌一枚、一方は太平洋の大濤が、牛の吼ゆるがごとき声して、緩かにしかも凄じ....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
きやしません。……いえね、いよいよとなれば、私は借着の寸法だけれど、花柳の手拭の
切立てのを持っていますから、ずッぷり平右衛門で、一時|凌ぎと思いましたが、いい塩....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
知っていますか―― 知るもんですか。お京さんが、崖で夜露に辷る処へ、石ころ道が
切立てで危いから、そんなにとぼついているんじゃ怪我をする。お寺へ預けて、昼間あら....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ながむれば、 「無明道人俗名机竜之助之墓」 それは湖畔の木標ではなく、まだ
切立ての一基の石塔であります。一方を見ると、同じような石塔が比翼の形に並んで、そ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
るものとは思えないような、気丈夫な考えのしたのは、自分が彳んでいた七八間さきの、
切立てに二丈ばかり、沖から燃ゆるような紅の日影もさせば、一面には山の緑が月に映っ....
「後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
穴は熊が自身に掘ったのでなく、天然の穴を用いたので有りまして、さながら井戸の如き
切立て、深さも二三丈はありまして、其の穴からまた横に掘ったのでございます。熊は慣....
「薬」より 著者:井上紅梅
、あたりが死んだように静かになる。二人は枯草の中に立って仰向いて鴉を見ると、鴉は
切立ての樹の枝に頭を縮めて鉄の鋳物のように立っている。 だいぶ時間がたった。お....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
道の中へ衝と出た、人の飛ぶ足より疾く、黒煙は幅を拡げ、屏風を立てて、千仭の断崖を
切立てたように聳った。 「火事だぞ。」 「あら、大変。」 「大いよ!」 火事だ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
ん、何とかいう待合、同業の家だった。目の下が、軒並の棟を貫いて、この家の三階へ、
切立てのように掛けた、非常口の木の階段だったのが分りました。いずれ、客の好奇心を....