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切符
「切符〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
切符の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
》本郷《ほんごう》辺のバアやカッフェ、青年会館や音楽学校の音楽会(但し一番の安い
切符の席に限るが)兜屋《かぶとや》や三会《さんかい》堂の展覧会などへ行くと、必ず....
「路上」より 著者:芥川竜之介
に思い出したような調子で、
「おい、君は『城《しろ》』同人《どうじん》の音楽会の
切符を売りつけられたか。」と真顔《まがお》になって問いかけた。
『城』と言うのは....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
日私は妻と二人で、有楽座の慈善演芸会へ参りました。打明けた御話をすれば、その会の
切符は、それを売りつけられた私の友人夫婦が何かの都合で行かれなくなったために、私....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
島婆さんの青んぶくれの顔を思い出しましたから、もう矢も楯もたまりません。いきなり
切符を車掌へ渡すと、仕事を仕損じた掏摸《すり》より早く、電車を飛び降りてしまいま....
「或る女」より 著者:有島武郎
階段をのぼると、青年は粗末な麦稈《むぎわら》帽子をちょっと脱いで、黙ったまま青い
切符《きっぷ》を渡した。
「おやなぜ一等になさらなかったの。そうしないといけない....
「或る女」より 著者:有島武郎
らした。葉子が薄暗い婦人待合室の色のはげたモロッコ皮のディバンに腰かけて、倉地が
切符《きっぷ》を買って来るのを待ってる間、そこに居合わせた貴婦人というような四五....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
え、退屈をするもんか。時々|喇叭を極めちゃあね、」 と向顱巻の首を掉って、 「
切符の売下口を見物でさ。ははは、別嬪さんの、お前さん、手ばかりが、あすこで、真白....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
表するらしく気競って言った。これは私たちのように、酒気があったのでは決してない。
切符は五十銭である。第一、順と見えて、六十を越えたろう、白髪のお媼さんが下足を預....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
若い内は遣ったかも知れんてな。ははは、」 人も無げに笑う手から、引手繰るように
切符を取られて、はっと駅夫の顔を見て、きょとんと生真面目。 成程、この小父者が....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
た流れて、なけなしの汽車のお代。盛岡とかいう処で、ふっと気がつくと、紙入がない、
切符がなし。まさか、風体を視たって箱仕事もしますまい。間抜けで落したと気がつくと....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
ら衣、ささおりの、安弁当の鰯の名に、紫はありながら、杜若には似もつかぬ、三等の赤
切符。さればお紺の婀娜も見ず、弥次郎兵衛が洒落もなき、初詣の思い出草。宿屋の硯を....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
上には、大きな風呂敷包みがあった。その又包みを抱いた霜焼けの手の中には、三等の赤
切符が大事そうにしっかり握られていた。私はこの小娘の下品な顔だちを好まなかった。....
「一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
海道へ行く時青森から船に乗ったら、船の事務長が知ってる奴だったものだから、三等の
切符を持ってるおれを無理矢理に一等室に入れたんだ。室だけならまだ可いが、食事の時....
「母を尋ねて三千里」より 著者:アミーチスエドモンド・デ
ているある汽船の船長に話しすると船長はすっかり感心してアルゼンチンの国へ行く三等
切符を一枚ただくれました。 そこでいよいよマルコは父親も承知してくれたので旅立....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
て、深い溜息を衝いた。 夫を門の戸まで送り出すとき、奥さんはやっと大オペラ座の
切符を貰っていた事を思い出して臆病げにこう云った。 「あなた、あの
切符は返してし....