»
刎
「刎〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
刎の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
の軍刀に触れたのは、相手の軍帽でもなければ、その下にある頭でもない。それを下から
刎《は》ね上げた、向うの軍刀の鋼《はがね》である。その音が煮えくり返るような周囲....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
に声をかけた。
「今行くよ。」
「僕も起きます。」
慎太郎は掻巻《かいま》きを
刎《は》ねのけた。
「お前は起きなくっても好いよ。何かありゃすぐに呼びに来るから....
「路上」より 著者:芥川竜之介
らりと俊助《しゅんすけ》の顔を窺《うかが》った。が、その眼が俊助の冷やかな視線に
刎返《はねかえ》されると、彼は急に悪びれない態度で、
「そうか。僕はちっとも気が....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
、浅学短才の悲しさに、俊寛も無気味《ぶきみ》に思うているのじゃ。して見れば首でも
刎《は》ねられる代りに、この島に一人残されるのは、まだ仕合せの内かも知れぬ。――....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ぷり暮れると同時に、またそこを飛び出して、酒臭い息を吐きながら、夏外套の袖を後へ
刎《は》ねて、押しかけたのはお敏の所――あの神下しの婆の家です。
それが星一つ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
の娘――女学生に、一ツ上げましょう、と言って、そんな野蛮なものは要らないわ! と
刎ねられて、利いた風な、と口惜がった。 面当てというでもあるまい。あたかもその....
「海異記」より 著者:泉鏡花
来るッてな、ここさ、はあ、こんの兄哥が、渾名に呼ばれた海雀よ。鳥のようにびらりと
刎ねたわ、海の中へ、飛込むでねえ――真白な波のかさなりかさなり崩れて来る、大きな....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
が怨は番頭じゃ。」 「違うでしゅ、翁様。――思わず、きゅうと息を引き、馬蛤の穴を
刎飛んで、田打蟹が、ぼろぼろ打つでしゅ、泡ほどの砂の沫を被って転がって遁げる時、....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
、奥座敷の欄干の外が、海と一所の、大い揖斐の川口じゃ。白帆の船も通りますわ。鱸は
刎ねる、鯔は飛ぶ。とんと類のない趣のある家じゃ。ところが、時々崖裏の石垣から、獺....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
中見ぶつのひっそりした桟敷うらを来たも同じだと思った。 役者は舞台で飛んだり、
刎ねたり、子供芝居が、ばたばたばた。 五 大当り、尺的に矢の刺っ....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
という処で見ると、満ざら、私も間違えたんじゃアありませんね。ことによったら、もう
刎ねっちまったんじゃありませんか。」 さあ…… 「成程、で、その連中でないとす....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
お寄りなさらないで、さっさと水道橋の方へ通越していらっしゃいました。 三崎座が
刎ねまして、両方へばらばら人通りがありました。それが途絶えましたちょうどあとで、....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
方を背戸にして別荘だちが二三軒、廂に海原の緑をかけて、簾に沖の船を縫わせた拵え。
刎釣瓶の竹も動かず、蚊遣の煙の靡くもなき、夏の盛の午後四時ごろ。浜辺は煮えて賑か....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
肥った臀を、若い奴が、鞭を振って追廻す――爪立つ、走る、緋の、白の、股、向脛を、
刎上げ、薙伏せ、挫ぐばかりに狩立てる。 「きゃッ。」 「わッ。」 と呼ぶ声、叫....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
まも吹きしむ思がして、――大笹の夜の宿に、ゾッと寒くなりました。それだのに掻巻を
刎ねて、写本を持ったなり、起直ったんです、私は……」 小山夏吉の眉に、陰が翳し....