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列車
「列車〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
列車の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春」より 著者:芥川竜之介
一
ある花曇りの朝だった。広子《ひろこ》は京都《きょうと》の停車場から東京|行《ゆき》の急行
列車に乗った。それは結婚後二年ぶりに母親の機嫌《きげん》を伺《うかが》うためもあ....
「影」より 著者:芥川竜之介
―そうかも知れない。――じゃ停車場《ていしゃば》へ来ていてくれ給え。――いや、終
列車にはきっと帰るから。――間違わないように。さようなら。」
受話器を置いた陳....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
の避暑地に住んでいた彼は、雨が降っても、風が吹いても、午前は八時発の下《くだ》り
列車に乗り、午後は四時二十分着の上《のぼ》り
列車を降りるのを常としていた。なぜま....
「路上」より 著者:芥川竜之介
《むらが》っていた。そうしてそれが絶えず蠢《うごめ》いている上に、電燈のともった
列車の窓が、一つずつ明《あかる》く切り抜かれていた。野村《のむら》もその窓から首....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
事である。当時大学の学生だった本間さんは、午後九時何分かに京都を発した急行の上り
列車の食堂で、白葡萄酒《しろぶどうしゅ》のコップを前にしながら、ぼんやりM・C・....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
にある霜柱のおのずから崩《くず》れる音らしかった。
その内に八時の上《のぼ》り
列車は長い汽笛を鳴らしながら、余り速力を早めずに堤の上を通り越した。保吉の捉える....
「白」より 著者:芥川竜之介
昨十八日(五月)午前八時|四十分《しじっぷん》、奥羽線上《おううせんのぼ》り急行
列車が田端駅《たばたえき》附近の踏切《ふみきり》を通過する際、踏切番人の過失に依....
「或る女」より 著者:有島武郎
のようにデリケートなその指先で、わざとらしく幾度か青年の手に触れる機会を求めた。
列車の中からはある限りの顔が二人を見迎え見送るので、青年が物慣れない処女《しょじ....
「或る女」より 著者:有島武郎
った。その心の中にはただ倉地の姿ばかりがいろいろに描かれたり消されたりしていた。
列車が新橋《しんばし》に着くと葉子はしとやかに車を出たが、ちょうどそこに、唐桟《....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
くしようと思ったのだ。彼れは汽車の中で自分のいい分を十分に考えようとした。しかし
列車の中の沢山の人の顔はもう彼れの心を不安にした。彼れは敵意をふくんだ眼で一人一....
「星座」より 著者:有島武郎
たちだろうと思って、婆やはまたハンケチを眼のところに持っていった。
上りの急行
列車が長く横たわっているプラットフォームには、乗客と見送人が混雑して押し合ってい....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
かかった。その日から一週間とたたない十一月の五日には、もう上野駅から青森への直行
列車に乗っている私自身を見いだした。 札幌での用事を済まして農場に行く前に、私....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
その人物は、人々が騒いで掛けた革鞄の手の中から、すかりと握拳の手を抜くと斉しく、
列車の内へすっくと立って、日に焼けた面は瓦の黄昏るるごとく色を変えながら、決然た....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
避暑地から自動車を飛ばした。自動車の走る道の両がわは大抵松ばかり茂っていた。上り
列車に間に合うかどうかは可也怪しいのに違いなかった。自動車には丁度僕の外に或理髪....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
は最短期間に終るものと考え、殊にドイツではクリスマスはベルリンでと信じ、軍隊輸送
列車には「パリ行」と兵士どもが落書したのである。 しかるに破竹の勢いでパリの前....