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初夏
「初夏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
初夏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
たら。」などと、だんだん軟化致し始めました。そうしてその年の変った明治二十六年の
初夏には、いよいよ秋になったら式を挙げると云う運びさえついてしまったのでございま....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
ある曇った
初夏《しょか》の朝、堀川保吉《ほりかわやすきち》は悄然《しょうぜん》とプラットフ....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
情に生きることができるのである。
自分は幾度となく、青い水に臨んだアカシアが、
初夏のやわらかな風にふかれて、ほろほろと白い花を落すのを見た。自分は幾度となく、....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
王氏の庭の牡丹《ぼたん》が、玉欄《ぎょくらん》の外《そと》に咲き誇った、風のない
初夏の午過《ひるす》ぎです。私は王氏の顔を見ると、揖《ゆう》もすますかすまさない....
「或る女」より 著者:有島武郎
ない。
「死ぬに限る」
葉子は窓を通して青から藍《あい》に変わって行きつつある
初夏の夜の景色をながめた。神秘的な穏やかさと深さとは脳心にしみ通るようだった。貞....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
年ののちは、さすがに八方|塞《ふさ》がりて、融通の道も絶えなむとせり。 翌年の
初夏金沢の招魂祭を当て込みて、白糸の水芸は興行せられたりき。渠は例の美しき姿と妙....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
三《み》ツ巻《まき》に包《くる》んで、ト先《ま》ず懐中に及ぶ。 春は過ぎても、
初夏《はつなつ》の日の長い、五月|中旬《なかば》、午頃《ひるごろ》の郵便局は閑《....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
花も雨にたたかれ、畠に、畝に、ひょろひょろと乱れて、女郎花の露を思わせるばかり。
初夏はおろか、春の闌な景色とさえ思われない。 ああ、雲が切れた、明いと思う処は....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
謡の声起り、深更時ならぬに琴、琵琶など響微に、金沢の寝耳に達する事あり。 一歳
初夏の頃より、このあたりを徘徊せる、世にも忌わしき乞食僧あり、その何処より来りし....
「虹と感興」より 著者:上村松園
。この依頼を受けたのは、夏前頃のことでしたから、図題も自然と夏季の初め、すなわち
初夏頃のものになりました。 私は、図題をきめるのに、かなり大事をとりますので、....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
をお掛けになりましょうかしら……おかしな口のきき方です、五月雨時の午後四時ごろ、
初夏真昼間だから、なおおかしい。 土間わきの壁を抜いて、御神燈といいますか、か....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
見えなかったが、皆故人を尊敬し感嘆して心から慟哭し痛惜する友人門生のみであった。
初夏の夕映の照り輝ける中に門生が誠意を籠めて捧げた百日紅樹下に淋しく立てる墓標は....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
を装って競走せるは、大喝采を博せり。 三日、晴れ。北風暖を吹き来たり、にわかに
初夏の候に入るの思いをなす。午後、記念のために撮影す。午前、一天雲なきに当たり、....
「寺町」より 著者:岩本素白
樹の多い山の手の
初夏の景色ほど美しいものはない。始めは樹々の若芽が、黒々とした枝の上に緑の点を打....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
られたことも覚えている。 ドイツから帰国後、陸軍大学教官となったが、大正十五年
初夏、故筒井中将から、来年の二年学生に欧州古戦史を受け持てとの話があり、一時は躊....