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「初夜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

初夜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
ては、夜更《よふ》けに人知れず仏参をすます事がないとも限らなかった。 とうとう初夜《しょや》の鐘が鳴った。それから二更《にこう》の鐘が鳴った。二人は露に濡れな....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
は、盆提灯《ぼんちょうちん》へ火のはいった縁先のうす明りにかしこまって、かれこれ初夜も過ぎる頃まで、四方山《よもやま》の世間話をして行きました。その世間話の中へ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
さして朝ごとに出勤するその道その道の紳士の、最も遅刻する人物ももう出払って、――初夜の九時十時のように、朝の九時十時頃も、一時は魔の所有に寂寞する、草深町は静岡....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
いて、煙草盆の巻莨の吸殻が一度|綺麗に片附く時、蚊遣香もばったり消えて、畳の目も初夜過ぎの陰気に白く光るのさえ、――寂しいとも思われぬ。 (あら可厭だ)……のそ....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
三十四 その夜に限って何事もなく、静かに。……寝ようという時、初夜過ぎた。 宰八が手燭に送られて、広縁を折曲って、遥かに廻廊を通った僧は、雨....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
びのあまり…… と口誦むように独言の、膝栗毛五編の上の読初め、霜月十日あまりの初夜。中空は冴切って、星が水垢離取りそうな月明に、踏切の桟橋を渡る影高く、灯ちら....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
――水の手の燗徳利も宵からは傾けず。追加の雪の題が、一つ増しただけ互選のおくれた初夜過ぎに、はじめて約束の酒となった。が、筆のついでに、座中の各自が、好、悪、そ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
れは――翌年の二月、末の七日の朝の大雪であった。―― 昨夜、宵のしとしと雨が、初夜過ぎに一度どっと大降りになって、それが留むと、陽気もぽっと、近頃での春らしか....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
論寐られる訳ではありませぬから、しばらくお雪の様子を見ていたのでありまする。やや初夜|過となりました。 山中の湯泉宿は、寂然として静り返り、遠くの方でざらりざ....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
かりある。普通の小さきものとは違いて、夏の宵、夕月夜、灯す時、黄昏には出来らず。初夜すぎてのちともすればその翼もて人の面を蔽うことあり。柔かに冷き風呂敷のごとき....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
ら、薄茶の道具一通。火鉢には釜の声、遥に神路山の松に通い、五十鈴川の流に応じて、初夜も早や過ぎたる折から、ここの行燈とかしこのランプと、ただもう取交えるばかりの....
露肆」より 著者:泉鏡花
の卓子の上に、お試用に掬出した粉が白く散って、売るものの鰌髯にも薄り霜を置く――初夜過ぎになると、その一時々々、大道店の灯筋を、霧で押伏せらるる間が次第に間近に....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
らないのでございました。 そうする中にも、女の方では、雨にも風にもめげないで、初夜頃になると必らず願掛けにまいり、熱誠をこめて、早く子供を授けていただきたいと....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
啣えつつ待った、手巾の真中をお絹が貸す…… 勝手になさい。 が、こんなのが、初夜過ぎた霊場へ、すらすらと参られようはずはない、東の階の上には、一本ならべの軽....
註文帳」より 著者:泉鏡花
、綿のちぎれが群って、真白な灯取虫がばたばた羽をあてる風情であった。 やがて、初夜すぐるまでは、縦横に乱れ合った足駄|駒下駄の痕も、次第に二ツとなり、三ツとな....