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「初更〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

初更の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
報恩記」より 著者:芥川竜之介
いたのは、その夜《よ》に始まったのではありません。もうかれこれ五日ばかり、いつも初更《しょこう》を過ぎさえすれば、必ず人目に立たないように、そっと家々を窺《うか....
藪の中」より 著者:芥川竜之介
、うんうん呻《うな》って居りました。時刻でございますか? 時刻は昨夜《さくや》の初更《しょこう》頃でございます。いつぞやわたしが捉《とら》え損じた時にも、やはり....
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
犯したことに気がついて、後悔と恐怖とのために、そこにへたばってしまった。 夜は初更を過ぎていた。母屋《おもや》と、仲間部屋とは、遠く隔っているので、主従の恐ろ....
蘭学事始」より 著者:菊池寛
も、知らせとうはござるが、前野氏の麹町の住居までは、よほどの道程でござる。もう、初更も過ぎているほどに、知らすべき便《たより》はござらぬ。前野氏には、この次の機....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
と鼻の先の蔵前渡しをただちに目ざしました。 3 夜はこのときようやく初更に近く、宮戸あたり墨田の川は、牽牛《けんぎゅう》織女お二柱の恋星が、一年一度....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
して、千柿老人の住まいなる浅草へ! 聖天町へ! 3 行きついたとき、初更のちょうど五ツ―― 「ここだッ。ここだッ。ここが千柿老人の住まいでこぜえます....
仇討三態」より 著者:菊池寛
の間にか薄れてしまうと、神々しい薄明が心のうちをほのかに照らすような心持がした。初更の来たことを報ずる更点の太鼓と共に、いつもは大衆と共に朗読する「普勧座禅儀」....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
下水を出かけたのが日暮れどき。 番町の治右衛門邸へ乗りつけたのが、かれこれもう初更近い刻限でした。 成上がり者ながら、とにもかくにも千石という大禄を喰んでい....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
しく立ち働いて、火をおこして、湯を沸かして、晩飯を食わせてくれた。 やがて夜の初更(午後七時―九時)とおぼしき頃に、家の外から小児の呼ぶ声がきこえた。 「阿香....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
りません。そこらを無暗に迷いあるいているうちに、夜はだんだんに暗くなって、やがて初更(午後七時―九時)に近い頃になったらしいのです。むこうの山の頂きに何かの建物....
黒百合」より 著者:泉鏡花
を化榎に帰して、即時人の目を瞞めたので。 越えて明くる夜、宵のほどさえ、分けて初更を過ぎて、商人の灯がまばらになる頃は、人の気勢も近寄らない榎の下、お兼が店を....
庚娘」より 著者:田中貢太郎
曳いて懽を求めた。女は体※に託してはぐらかした。王はそこで細君の所へいって寝た。初更がすぎたところで、王夫婦がやかましくいい争いをはじめたが、その由は解らなかっ....
阿英」より 著者:田中貢太郎
約がどうしても成立しなかった。その時|玉は匡山の寺へいって勉強していた。ある夜|初更のころ、枕に就いたところで、窓の外で女の声がした。そっと起きて覘いてみると、....
頭髪の故事」より 著者:井上紅梅
れたかしれん。 われわれは革命の講義をする時、楊州十日《ようしゅうとおか》(清初更俗強制《しんしょこうぞくきょうせい》の殺戮)とか、嘉定屠城《かていとじょう》....
泡盛物語」より 著者:佐藤垢石
子供の車座のなかへ割り込んで、黙って座った。それから二時間ばかりして家内は、夜も初更になってから、さみしい姿で帰ってきた。それでも元気な声で、土間から、 「皆さ....