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初物
「初物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
初物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「根岸お行の松 因果塚の由来」より 著者:三遊亭円朝
よ、勿体なくも私のような茶人があればこそ口説《くどき》もしたのさ、一生のうち終り
初物で恟りして戸迷《とまど》いしあがッたんだろう、ざまア見あがれと直ぐ外の男へ口....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
ゃいられねえ奴隷だよ。あんな奴等は。」高取は、そばの、助平の西崎をもかえり見た。
初物食いで、同一の女郎を二度と買った、ためしがないという男だ。 「あんな奴等が一....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
らい風呂に出かけ、初生の茄子一つは二|文、二つは三文と近在の百姓が売りに来れば、
初物食って七十五日の永生きと皆々三文出して二つ買うのを、あるじの分別はさすがに非....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
葉は骨に鏤んで七生忘れませぬ、女子の世に生れし甲斐今日知りて此嬉しさ果敢なや終り
初物、あなたは旅の御客、逢も別れも旭日があの木梢離れぬ内、せめては御荷物なりとか....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
来いだ。お前だってそう思うだろう」 「ところで味はよかったかな」 「俺にとっちゃ
初物だった。第一体がよかったよ。色の白さと柔かさとに羽二重というより真綿だね。そ....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
それにくれるのが優しげなお婆さん。 地が性に合うで好う出来るが、まだこの村でも
初物じゃという、それを、空腹へ三つばかり頬張りました。熱い汁が下腹へ、たらたらと....
「地獄の使」より 著者:田中貢太郎
いた。そして、お勤めがすむと、老婆の心は餅に往った。老婆は餅も喫ってみたければ、
初物の里芋も喫ってみたかった。 (餅は寝しなに喫おう、今、喫っては旨くないから)....
「地上」より 著者:島田清次郎
う骨折って育てた子供という訳じゃありますまいし、なんだね、思い切りの悪い。さんざ
初物の御馳走を吸いつくしたかすをなげ出すからってさ!」 「御冗談でしょう。それじ....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
りながら気になった。――S村では、まだ時々駐在所の巡査や校長へ、芋や大根や鶏を「
初物」だと云うので、持ってゆく。所が、その偉い旦那さん達が、裏では村の金持や有力....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
ゃありませんか。まあ、若い者のお手本にやって見せているようなもので、おそらく終り
初物でしょう。」 実際それは終り
初物になったのである。それは十一月のなかば過ぎ....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
。この夜、渓畔に天幕を張り、これを煮て食う。旨しとは思わざるが、ともかくも余には
初物也。天麩羅にすれば旨しと、嘉助氏いえり。午前二時目覚む。雨の音を聞く。ことこ....
「胡瓜」より 著者:北大路魯山人
成長してしまっては落第である。一般に、温室など利用して作った小さなきゅうり、俗に
初物と呼ぶような出たてのきゅうりで、料理屋などで使うのは、小さなのがよい。これは....
「活人形」より 著者:泉鏡花
の玉なら、潰に売ったって三年の年期にして四五百円がものはあります。それを貴下は、
初物をせしめるばかりか、生涯のなぐさみにするのだもの、こちらは見切って大安売だ。....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
り寄せたり、
厨の役人と打ち合せて、油断なくいたしましょう。
尤も食卓の飾にする
初物や珍物はお好なさらず、
滋養になる常の品がお望だとは存じていますが。
....
「若鮎の気品を食う」より 著者:北大路魯山人
やらずには納まらない。頭から尾先まで二寸から二寸五分というくらいの大きさが若鮎の
初物で、その小味はたとえようもない。若鮎には気品の高さというものがある。その気品....