初産[語句情報] » 初産

「初産〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

初産の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
道草」より 著者:夏目漱石
、片付いて何年目かになって始めて一人の男の子を生んだ。年歯《とし》を取ってからの初産《ういざん》だったので、当人も傍《はた》のものも大分《だいぶ》心配した割に、....
どんぐり」より 著者:寺田寅彦
を言っては余と美代を困らせる。妻はそのころもう身重になっていたので、この五月には初産《ういざん》という女の大難をひかえている。おまけに十九の大厄《たいやく》だと....
ネギ一束」より 著者:田山花袋
乞食にひとしい月日を送った。 蟾蜍のような大きい腹を抱えて、顔は青く心は暗く、初産の恐怖は絶えず胸を痛めて、何がなし一刻も早く身二つになれかしと祈った。腹の中....
海異記」より 著者:泉鏡花
う、女房は子持ちながら、年紀はまだ二十二三。 去年ちょうど今時分、秋のはじめが初産で、お浜といえば砂さえ、敷妙の一粒種。日あたりの納戸に据えた枕蚊帳の蒼き中に....
人間灰」より 著者:海野十三
した」 「次は新仏のことですが、あれは確かにございました。峰雪乃の墓です。これは初産に気の毒にも前置胎盤で亡くなりましたので……。この墓については大体おっしゃっ....
黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
此間会った時に、その事をいって呉れゝば、恰度僕の所も家内が妊娠中で、僕の所は初産ではないけれども、上は亡くなしているから、まア初めて見たいなもので、共に祝い....
足迹」より 著者:徳田秋声
ていなかった。お庄はその着物を見ながら、げらげら笑い出した。三十にもなって、まだ初産のような騒ぎをしている叔母の様子がおかしかった。 「四十になって初産する人だ....
」より 著者:徳田秋声
れて来た。 「あんな窮屈な二階|住居で、お産が軽ければようござんすけれど、何しろ初産のことですから、どんな間違いがないとも限りませんもの。」 「こればかりは重い....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
声も寂しゅう、 「お寺の鐘が聞えました。」 「南無阿弥陀仏、」 「お可哀相に、初産で、その晩、のう。 厭な事でござります。黒門へ着かしって、産所へ据えよう、....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
そりゃ、張って張って仕様がないから、目にちらつくほど待ったがね、いざ……となると初産です、灸の皮切も同じ事さ。どうにも勝手が分らない。痛いんだか、痒いんだか、風....
血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
だ五六年にしかなりません。僕は病院で生れたのだそうですよ」 「病院で」 「ええ、初産ですし、大事をとって、四谷のK病院でお産をしたんだそうです」 「病院で」 ....
大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
ある。 (イ)電燈に笠の紫布垂れ朝寝かな かな女 (ロ)旅にえし消息のはし猫初産 より江 (イ)、旅宿で受取った留守宅からの消息の端に愛猫の初産を報じ....
地上」より 著者:島田清次郎
かけた蒼白な馴染深いお信の魂と体を愛さずにいられなかった。 お信が中年の苦しい初産で生み落した嬰児は、頭ばかり青ぶくれな身体の小さい、泣声のひひひという汚ない....
トンカトントンカッタカッタ」より 著者:今野大力
。そしてその狸腹を冷たい堅い貫々玉にぶち付けた。彼女はその夜半死半生の苦痛をして初産した。 ロール式藁打機は彼女の亭主が発明したのだと、お弁ちゃらの縄屋の内儀....
ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
いた。湖にのぞむ大きな病院だったが、父母はその中門のひと間に貧しく暮らしていた。初産だったので、世話好きのいとこのお鉄さんが付き添っていた。父はちょうどそのとき....