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初秋
「初秋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
初秋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「手紙」より 著者:芥川竜之介
フランクを論じていました。
僕は今僕の部屋にこの手紙を書いています。ここはもう
初秋《しょしゅう》にはいっています。僕はけさ目を醒《さ》ました時、僕の部屋の障子....
「或る女」より 著者:有島武郎
通るたびごとに暑気は薄れて、空いちめんが灰色にかき曇るころには、膚寒く思うほどに
初秋の気候は激変していた。時雨《しぐれ》らしく照ったり降ったりしていた雨の脚《あ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
舞台の上にがっくり倒れた。邪慳な養母にさいなまれつづけて、若い美しい師匠は十八の
初秋にこの世と別れを告げた。 その新盆のゆうべには、白い切子燈籠の長い尾が、吹....
「階段」より 著者:海野十三
な苦しさに襲われるのであった。 それは夏も過ぎ、涼しい風が爽かに膚を撫でて行く
初秋の午後であった。僕は肩から胸へ釣った記録板と、両端をけずった数本の鉛筆とを武....
「デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
から見渡しつつ間もなく私達は屋上へ出た。今までの陰惨な気持を振り捨てて晴れ渡った
初秋の空の下に遠く拡がる街々の甍を見下ろしながら、私は深い呼吸を反覆した。 喬....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
。店先には商品が充実していて、その上種類の変化も多かった。道路の闇を程よく残して
初秋らしい店の灯の光が撒き水の上にきらきらと煌めいたり流れたりしていた。果もの屋....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
に限られていて、その以外の月には夜店を出さないのが其の当時の習わしであったから、
初秋の夜風が氷屋の暖簾に訪ずれる頃になると、さすがの大通りも宵から寂寥、勿論そぞ....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
ので、大部分は野営した。柳の多い村で、張訓も羊得も柳の大樹の下に休息していると、
初秋の月のひかりが鮮かに鎧の露を照らした。張訓の鎧はかれの妻が将軍の夢まくらに立....
「異妖編」より 著者:岡本綺堂
忙しいので、いわゆる半通夜で四つ過ぎにそこを出て来たのである。月のない暗い空で、
初秋の夜ふけの風がひやひやと肌にしみるので、女房は薄い着物の袖をかきあわせながら....
「怪獣」より 著者:岡本綺堂
焼いてしまうことにしたのです。それは娘たちが入院してから三日目のことで、この日も
初秋らしい風が吹いて空は青々と晴れていました。読経が型の如くに済んで、一対の人形....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
ろすことになった。 薄く曇った日の午過ぎで、そこらの草の葉を吹き分ける風はもう
初秋の涼しさを送っていた。髑髏も昼は黙っているのである。 その髑髏のかかってい....
「慈悲心鳥」より 著者:岡本綺堂
日なり。月末に近づきて各旅館の滞在客もおいおいに減ってゆく。いつもながら避暑地の
初秋は侘しきもの也。午後四時ごろに再びお冬さんを訪ねんとて、二階の階子を降りて行....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
のドーヴィルに喰い込んで居るのかと、内心驚いた。 二 太陽が鮮に
初秋の朝を燦かし始めた。ドーヴィル市の屋根が並べた赤、緑、灰色の鱗を動かして来た....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
爵は粗末な袷・羽織を着流し、風呂敷包み一個を所持しているのみであった。(この話は
初秋に起った)が、別にそうした風体を気にかけるでもなく、悠々迫らざる態度で、いか....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
いのに反し、晩秋の茸は霜を戴いて猶食し得るものが多い。初茸、シメジ、獅子茸の類は
初秋のものに属し、椎茸は仲秋(椎茸は総じて秋季に生ずるものにめざましいものは少く....