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初茸
「初茸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
初茸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
、夏から秋に移り変る時の短い雨が来た。草木にそそぐ音は夕立ほど激しくない。最早|
初茸を箱に入れて、木の葉のついた樺色なやつや、緑青がかったやつなぞを近在の老婆達....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
さんや、赤児を負ったお春っ子が、笊をかゝえて採りに来る。楢茸、湿地茸、稀に紅茸、
初茸は滅多になく、多いのが油坊主と云う茸だ。一雨一雨に気は冷えて行く。田も林も日....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
果しておなじような事が起ったんです。――それは受取った荷物……荷は籠で、茸です。
初茸です。そのために事が起ったんです。 通り雨ですから、すぐに、赫と、まぶしい....
「古狢」より 著者:泉鏡花
まじりに掻き分けた路も、根を畝って、奥が深い。いつも松露の香がたつようで、実際、
初茸、しめじ茸は、この落葉に生えるのである。入口に萩の枝折戸、屋根なしに網代の扉....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
、やあ、一杯だ一杯だ。」 と筵の上を膝で刻んで、嬉しそうに、ニヤニヤして、 「
初茸なんか、親孝行で、夜遊びはいたしません、指を啣えているだよ。……さあ、お姫様....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
るが、そこで取れる茸は、松茸《まつたけ》、湿茸《しめじ》、小萩茸《おはぎたけ》、
初茸《はつたけ》、老茸《おいたけ》、鼠茸《ねずみたけ》というようなものに限ったも....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
者と、この庵《いおり》の主《あるじ》なる若い老尼とは、お取膳で御飯を食べました。
初茸《はつたけ》の四寸、鮭《さけ》のはらら子、生椎茸《なましいたけ》、茄子《なす....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
、放生津の鱈や、氷見の鯖より優でありまするから、魚田に致させまして、吸物は湯山の
初茸、後は玉子焼か何かで、一|銚子つけさせまして、杯洗の水を切るのが最初。 「姉....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
の置で皮を乾したそうである。 笑話の翌朝は、引続き快晴した。近山裏の谷間には、
初茸の残り、乾びた占地茸もまだあるだろう、山へ行く浴客も少くなかった。 お桂さ....
「初秋海浜記」より 著者:豊島与志雄
第一これからは、川に群れてる鯔《いな》にも脂がのってくる、鯔の食える季節は、山に
初茸の出る時期の間だけだと、そんなことを話してきかした。かと思うと、今にひどい暴....
「お山の爺さん」より 著者:豊島与志雄
がら、林の所へやって来ました。するとどうでしょう。林の中一面に松茸《まつたけ》や
初茸《はつたけ》やしめじや……金茸《きんたけ》銀茸《ぎんたけ》などが、落葉や苔《....
「大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
写生と異る。 茸城や連り走る茸の傘 操女 松茸や地をかぎ歩く寺の犬 星布
初茸の香にふり出す小雨かな 智月 元禄の句、
初茸は目にうつり来ず、小雨のふ....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
げ出しました。一度は一軒置いてお隣りの多宝院の納所へ這入り坊さんのお夕飯に食べる
初茸の煮たのを摘んでいるところを捕まえました。一度は天王寺の境内へ逃げ込み、樹か....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
きを、かかるもの何かせむ。 打こぼし投げ払いし籠の底に残りたる、ただ一ツありし
初茸の、手の触れしあとの錆つきて斑らに緑晶の色染みしさえあじきなく、手に取りて見....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
い彼の猪の鼻すぐに腐敗し易いのに反し、晩秋の茸は霜を戴いて猶食し得るものが多い。
初茸、シメジ、獅子茸の類は初秋のものに属し、椎茸は仲秋(椎茸は総じて秋季に生ずる....