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「初霜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

初霜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
野分」より 著者:夏目漱石
鮎《おちあゆ》の時節である。ことによると崩《くず》れかかった藁屋根《わらやね》に初霜《はつしも》が降ったかも知れない。鶏《にわとり》が菊の根方を暴《あ》らしてい....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
。これにも種々あるらしいが、やはり普通の深紅色がよい。オレンジ色も美しい。これも初霜の洗礼を受けて、その濃い色を秋の日にかがやかしながら、見あぐるばかりに枝や葉....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
州の方へ下りた。 その七 落葉の一 毎年十月の二十日といえば、初霜を見る。雑木林や平坦な耕地の多い武蔵野へ来る冬、浅々とした感じの好い都会の霜....
平凡」より 著者:二葉亭四迷
は或雑誌へ出た。初恋が霜《しも》げて物にならなかった事を書いたのだからとて、題は初霜だ。雪江さんの記念に雪江《せっこう》と署名した。先生が筆を加えて私の文は行方....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ありませんでした……」 「でも、それは、五年前のお話じゃありませんか……」 と、初霜というのが少しばかり張り合う。醒ヶ井は決して負けてはいない。 「だから、言う....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
する時分には、小宮山も微酔機嫌、向うについておりますのは、目指すお雪ではなくて、初霜とや謂わむ。薄く塗った感心に襟脚の太くない、二十歳ばかりの、愛嬌たっぷりの女....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
や本門寺 冬の部 凩の吹きあるゝ中の午砲かな 折りくべて霜湧き出づる生木かな初霜をいたゞきつれて黒木売 もてあます女力や雪まろげ 大雪の谷間に低き小村かな ....
丹下左膳」より 著者:林不忘
ぜん》と上を向いて笑った。 が、泰軒は忠相の鬢《びん》に、忠相は泰軒のひげに、初霜に似た白いものをみとめて、何がなしにこころわびしく感じたのであろう。双方《そ....
おせん」より 著者:邦枝完二
丞の、細い声が鋭く聞えた。 「いいよ。いいから、ここへお通し。――」 六初霜を避けて、昨夜縁に上げられた白菊であろう、下葉から次第に枯れてゆく花の周囲を....
わが童心」より 著者:佐藤垢石
幾度も俳句に読んでいるけれど、私は秋の榛名に傾倒している。九月の末になって、峰の初霜から次第に冷涼が加わってくると、榛名は嶺の草原から紅くなる。十月に入ると、も....
ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
しものこと、たかが口のまわりに卵の黄身のついた子供のくせにさ。……』 はやくも初霜がおりはじめた。ジノーヴィー・ボリースィチが、相変らず消息不明だったことは、....
式部小路」より 著者:泉鏡花
縮みの脊負上げ。しやんと緊まった水浅葱、同模様の帯留で。雪のような天鵞絨の緒を、初霜薄き爪先に軽く踏えた南部表、柾の通った船底下駄。からからと鳴らしながら、その....
我家の園芸」より 著者:岡本綺堂
。これにも種々あるらしいが、やはり普通の深紅色がよい。オレンジ色も美しい。これも初霜の洗礼を受けて、その濃い色を秋の日にかがやかしながら、見あぐるばかりに枝や葉....
五重塔」より 著者:幸田露伴
たぞと号きちらす。おもえばこれも順々|競争の世の状なり。 世に栄え富める人々は初霜月の更衣も何の苦慮なく、紬に糸織に自己が好き好きの衣着て寒さに向う貧者の心配....
」より 著者:永井荷風
人、松と芭蕉《ばしょう》の霜《しも》よけをしにとやって来た頃から、間《ま》もなく初霜《はつしも》が午《ひる》過ぎから解け出して、庭へはもう、一足も踏み出されぬよ....