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別け
「別け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
別けの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
分と古い、柱が残らず椎の木だ。それがまた煤《すす》やら垢《あか》やらで何の木か見
別けがつかぬ位、奥の間の最も煙に遠いとこでも、天井板がまるで油炭で塗った様に、板....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
云う。優等生で、この容色であるから、寄宿舎へ出入りの諸商人も知らぬ者は無いのに、
別けて馴染の翁様ゆえ、いずれ菖蒲と引き煩らわずに名を呼んだ。 「ははい。」 と....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
(注一)を生みぬ、この高く秀でし女神は。 またペルセス(Perses)も、そは、
別けて知恵優れし神なりき。 エオスはアストレオスと契りて、制し難き雄心に勇む風の....
「猫と色の嗜好」より 著者:石田孫太郎
涎掛の類は赤いのが第一である、又小猫が赤い首環を嵌め、又は赤い涎掛をして居るのは
別けて可愛らしいものであり、殊に白いのや水色の如きは汚れ易いものであるから、猫の....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
えい所へも養子に行けよう。万方都合よくなるではないか。ここをな、おとよとくと聞き
別けてくれ、理の解らぬお前でないのだから」 父のことばがやさしくなって、おとよ....
「温情の裕かな夏目さん」より 著者:内田魯庵
そうである。夏目漱石さんはあらゆる方面の感覚にデリケートだったのは事実だろうが、
別けても色に対する感覚は特にそうだったと思う。「ブリウブラックを使えば帳面を附け....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
の底に沈澱している胎児は、その男と、あの可憐なる少女とが、おのれの血と肉とを共に
別けあって生長させた彼等の真実の子供なのだった。でも母親の胎内を無理に引離され、....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
―そうしたものを、問屋に持ちこむのだった。問屋には、数人の職人が居て、品物を選り
別けたり、特別のものを作ったりして、その上に商標のついた帯をつけ、重い束を天井に....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
行者の類、これに豆腐屋、魚屋、郵便配達などが交って往来引きも切らず、「早稲の香や
別け入る右は有磯海」という芭蕉の句も、この辺という名代の荒海、ここを三十|噸、乃....
「活動写真」より 著者:淡島寒月
倶楽部で上場されたチェーラル・シンワーラーの「ジャンダーク」は大評判の大写真で、
別けてもその火刑の場は凄惨を極めて、近来の傑作たる場面であった。こういう大仕掛な....
「兎と猫」より 著者:井上紅梅
りませんぞという。わたしの母も彼等の家族の繁栄を喜び、生れて乳離れがしたら、二匹
別けて貰ってこちらの窓下で飼ってみようと言った。 彼等はそれから自分で造った洞....
「髷」より 著者:上村松園
い変化をみせて来て、むかしのように髷の形で、あの人は夫人であるか令嬢であるかの見
別けがつかなくなった。 いまの女性は、つとめてそういったことをきらって、殊更に....
「一寸怪」より 著者:泉鏡花
怪談の種類も色々あって、理由のある怪談と、理由のない怪談とに
別けてみよう、理由のあるというのは、例えば、因縁|談、怨霊などという方で。後のは....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
ど、荷のある類はあらかじめこの一条の横町は使わぬことになってるけれども、人一人、
別けて肩幅の細りした女、車の歯を抜けても入られそうに見えるけれども、逞しい鼠色の....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
りした友染を、東京下りの吾妻下駄の素足に捌いたのが、ちらちらと交るを見ると、人を
別けた傘を斜めに、撫肩で、櫛巻の凜とした細面の見えたのは、紅屋の内儀で。年は八郎....