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別れ際
「別れ際〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
別れ際の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
うなったら、たとい死んでも死にきれない。いやいや、あの人は必ず、来る。私はこの間
別れ際に、あの人の目を覗《のぞ》きこんだ時から、そう思わずにはいられなかった。あ....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
るまで、売薬の外は誰《だれ》にも逢《あ》わなんだことは申上げるまでもない。
今
別れ際《ぎわ》に声を懸けられたので、先方《むこう》は道中の商売人と見ただけに、ま....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
その間、豹一は、(成功だろうか、失敗だろうか?)とその事ばかり考えていた。結局
別れ際に、「承知せえへんし」と命令的な調子でたたきつけられて、返す言葉もなく別れ....
「党生活者」より 著者:小林多喜二
えてみて、 「じゃ、オレと九時会ってくれ。」 私達はそこで場所を決めて別れた。
別れ際に須山は「ヒゲがやられたら、俺も自首して出るよ!」と云った。それは勿論《も....
「岩石の間」より 著者:島崎藤村
合わせては復たサッサと歩いた。 「しかし、女でも何でも働くところですネ」と子安は
別れ際《ぎわ》に高瀬に言った。 高瀬も佇立《たちどま》って、「畢竟《つまり》、....
「新生」より 著者:島崎藤村
、しかも失われた恋に対する心の消息を語るようにも聞き做《な》された。意中の人との
別れ際《ぎわ》に「安心していても好いでしょうね」と念を押して「ええ」という堅い返....
「刺繍」より 著者:島崎藤村
。用達の為に歩き廻る途中、時々彼は往来で足を留めて、おせんのことを考えた。彼女が
別れ際《ぎわ》に残して行った長い長い悲哀《かなしみ》を考えた。 恐らく、彼女は....
「家」より 著者:島崎藤村
が窓の玻璃に映ったり消えたりした。 「叔父さん――叔父さん――」 と呼ぶような
別れ際の正太のことを胸に浮べながら、三吉は自分の妻子の方へ帰って行った。それは最....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
でしまいたかったのだ。 しかし彼は死ぬわけにゆかなかった。彼は川上機関大尉から
別れ際にいい渡された言葉にそむくことが出来なかった。 (決して死んじゃならぬ。お....
「ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
にぶらぶらしていらっしゃらないで、ほんとうにお医者さまに診て貰ったらどうです」と
別れ際に慰めてくれたのもあの娵だった。どうも自分の身体の具合が好くないと思い思い....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
いました」 長平が離京するとき、ルミ子が送ってきた。 「いい加減で帰りたまえ。
別れ際の時間は短いほどよろしいものだよ」 長平が彼女を帰らせようとすると、 「....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
こまって、すべてを語り終って後も、虎之介のフクレッ面はとがッたままだった。昨夜の
別れ際に、氷川町のことまで新十郎に先廻りして云われたのが癪にさわって堪らないから....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
全軍|粛々と動き出した。 玻璃窓の郡上平八としては、ここが名誉と不名誉との、
別れ際ともいうべきであった。赤格子が殺されてしまったら、せっかくの密書が役に立た....
「書記官」より 著者:川上眉山
親しみやすき湯治場の人々の中にも、かかることに最も早きは辰弥なり。部屋へと二人は
別れ際に、どうぞチトお遊びにおいで下され。退屈で困りまする。と布袋殿は言葉を残し....
「雨」より 著者:織田作之助
行たら承知せえへんしと言い、そして別れた。 先ず成功であったといえる筈だのに、
別れ際の承知せえへんしという命令的な調子に苦もなくたゝきつけられてしまった。失敗....