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「別辞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

別辞の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
はいりたくなり、その窓をたたきたかった。彼女に別れるのが非常につらかった、しかも別辞もかわさないで別れるのが――別れを告げる隙《ひま》もないほど早くから、ローザ....
アンゴウ」より 著者:坂口安吾
執念がはたらいているとしか矢島には思うことができなかった。 子供たちが、一言の別辞を父に語ろうと祈っているその一念が、暗号の紙にこもっている、そう考えることが....
利根の尺鮎」より 著者:佐藤垢石
松まで泳ぎついて、ほっとするのは、六月も終わりの頃であった。顧みれば、銚子の海に別辞を残してから、既に何十里の旅を続けたろう。恐らく、百里に近くはあるまいか。 ....
或る探訪記者の話」より 著者:平林初之輔
者連と折れ合う気づかいはないので、博士はまもなく、「研究の自由を拘束する学閥への別辞」というセンチメンタルな文章を発表し教授の職を辞したのであつた。ところが、世....
望郷」より 著者:服部之総
ていなかったことを断言することができる。「青年よ大望をもて!」といったクラークの別辞のなかに、革命を戦った古典アメリカの清純なアンビションをみる。 北大の庭か....
三国志」より 著者:吉川英治
と、横を向いて笑った。 孫堅はむっとして、 「何で総帥には、それがしが真面目に別辞を述べているのに、無礼な笑い方をなさるのか」 と、剣に手をかけて詰問った。....
三国志」より 著者:吉川英治
をよんで、出立の前夜、家財宝物など、のこらず遺物わけしてしまった。 そしてその別辞に、 「こんどの会戦は、千に一つも勝ち目はあるまい。もし僥倖にめぐまれてお味....
三国志」より 著者:吉川英治
に、途々、苦念した。 「そうだ……隆中へ立寄っても、さして廻り道にはならぬ。――別辞かたがた孔明にもちょっと会って行こう。そして主君玄徳の懇望があったら、ぜひ召....
三国志」より 著者:吉川英治
その静かな眸をもって輔佐の人々へ、 (くれぐれも頼み参らすぞ) と心からいって別辞に代えたものだった。 そしていよいよ成都を立つ日となると、後主劉禅は宮門を....
私本太平記」より 著者:吉川英治
っていた。 別れぎわには、佐々木道誉以下、土岐左近らも、とにかく表面ねんごろに別辞をつくした。わけて、道誉は、 「きっと、御再会の日をお待ちする。その日はさら....
私本太平記」より 著者:吉川英治
いて、まずこんどのところは素通りしようと、急に考え直したものらしい。 やがて、別辞を交わして、主客共に、そこの座を立ちかけたときである。 「まずい!」 先に....
私本太平記」より 著者:吉川英治
う御使いをお遂げなされませ」 「おう、さらばだ」 俊基は、苫の蔭から、忙しない別辞を返す。 「もう案じるな。ここが助かるような身の武運なら、先々とても、首尾は....
私本太平記」より 著者:吉川英治
分、西と東にわかれて暮らさねばなりませぬ。切に、おからだだけはお大事に」 と、別辞をつげた。 「ご苦労だな、直義」 尊氏はそういって。 「あとは心配するな。....
黒田如水」より 著者:吉川英治
には見えなかった。 安土の城内には二日留まっていた。三日目の朝、官兵衛は信長に別辞を告げ、秀吉も質子を連れて、長浜へ帰ることになった。 秀吉と共に来ていた竹....
大岡越前」より 著者:吉川英治
言は慎み給え。じゃあ、またいつかお目にかかろう」 左右太は、同僚に鬱憤まじりの別辞をのべて、やがてひとり通用門から立ち去った。 「あの足で、またすぐ石焼豆腐へ....