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利かぬ気
「利かぬ気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
利かぬ気の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「道草」より 著者:夏目漱石
してなかった。ことに口は姉の方が比田に比べると十倍も達者だった。それにしてもこの
利かぬ気の姉が、夫に騙《だま》されて、彼が宅へ帰らない以上、きっと会社へ泊ってい....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
する賞賛が、ことごとく針のように、彼の胸に突き刺さった。が、中座することは、彼の
利かぬ気が許さなかった。 夜の更けると共に、一座の客は減っていた。幸太郎は鈴木....
「野狐」より 著者:田中英光
さい身体をチョコマカと動かし、客たちの間をぬって、ダンスしている。私はその彼女の
利かぬ気を微笑で眺め、他の女給とダンスを始める。 曲がタンゴでもブルースでもか....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
、突如として、鼻の先で、野太い声が、そうきめつけたので、少なからずたじろいだが、
利かぬ気の丑、
「おッ! どいつだ! どいつが、ひとの咎《とが》め立てなんぞしや....
「暗黒公使」より 著者:夢野久作
子供のように小さな紅い唇の切れ込みとのどこかに、大|奈翁の肖像画に見るような一種
利かぬ気な、注意深い性質が現われているようであるが、それが又|却てこの少年の無邪....
「爆弾太平記」より 著者:夢野久作
者の群に飛び込んだという熱血漢だ。 ところがこの友吉という親仁が、持って生れた
利かぬ気の上に、一種の鋭い直感力を持っていたらしいんだね。いつの間にか爆薬密売買....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
からなかったろうと、物語った。今でも気をつけて視ると、すこし跛足を引いているが、
利かぬ気の父ッさんである、この嘉門次が一年中の半分は、寝泊りしているところは、温....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
げる空の森は暗し、爺どのは、身震いをしたと申しますがの。」 十 「
利かぬ気の親仁じゃ、お前様、月夜の遠見に、纏ったものの形は、葦簀張の柱の根を圧え....
「学生と先哲」より 著者:倉田百三
に多い。 彼の幼時の風貌を古伝記は、「容貌厳毅にして進退|挺特」と書いている。
利かぬ気の、がっしりした鬼童であったろう。そしてこの鬼童は幼時より学を好んだ。 ....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
下手な俳優ではなかった。 又三郎は温順の人のように聞いているが、紅車はなかなか
利かぬ気の男であるらしかった。あるとき常盤座の演技中に、大向うから彼に対して悪口....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
たから椿岳は二軒|懸持の旦那で頤を撫でていたが、淡島屋の妻たるおくみは男|勝りの
利かぬ気であったから椿岳の放縦気随に慊らないで自然段々と疎々しくなり、勢い椿岳は....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
には大概ある話で、特に注目すべき事柄でもあるまい。そうかと思えば勇敢で殺生好きで
利かぬ気の子供でもあった。そしてまた、宗教的な罪障感なぞに攻められ、時々身も世も....