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利巧
「利巧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
利巧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
なく、中御門《なかみかど》の御姫様を恋い慕っていらっしゃいました。所がこの方は御
利巧だと同時に、気の小さい御性質だったと見えまして、いかに御姫様を懐《なつか》し....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
めどない啜《すす》り泣きを呑みこみ呑みこみしたものだった。………
「あの犬は中々
利巧だったが、こいつはどうも莫迦《ばか》らしいな。第一|人相《にんそう》が、――....
「路上」より 著者:芥川竜之介
、民雄はまだ俊助の手をつかまえたまま、
「ううん。僕は莫迦じゃないよ。」
「じゃ
利巧《りこう》か?」
今度は俊助まで口を出した。
「ううん、
利巧でもない。」
....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
――そこが高平太《たかへいだ》の強い所じゃ。小松《こまつ》の内府《ないふ》なぞは
利巧なだけに、天下を料理するとなれば、浄海入道より数段下じゃ。内府も始終病身じゃ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
すと、徳次郎は九つの春から山城屋へ奉公に出て、今年で足かけ八年になる。年の割には
利巧で、児柄《こがら》もいい。ことしの正月の藪入りに出て来た時に、となりの足袋屋....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いことをする人間には案外そんなのがたくさんありますがね。このお丸だって、あんまり
利巧な奴じゃありません」 「で、そのお丸はどうしました」と、わたしは訊いた。 「....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
髪で、おきわと妻合《めあ》わせるわけには行かない。もう一つには、おきわはなかなか
利巧な娘で、自分たちの不義を薄々覚っているらしいので、由兵衛はなにかにつけて彼女....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
までにも内輪では貰い娘を何か邪慳にしたこともあるだろうし、お安という娘もなかなか
利巧者だから、親たちの胸のうちも大抵さとっていたらしい。それだから、いよいよ追い....
「幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
。抜き打ちの御質問でびっくりした私が、声も出せずに黙ってうなずきますと、その若い
利巧そうなお医者様は、 「では、これから、そのお墓まで連れて行ってくれませんか」....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
は馬鹿なりに、それ相応の理解力があるんですよ。『脳味噌をつめ替えろ』と云われて、
利巧な人の脳味噌を抜きとった男が、それから、いったいなにをすると思います?……」....
「転機」より 著者:伊藤野枝
すべもすべての疑念を去らせる方法も知っていた。しかし、すべては世間体を取り繕う、
利巧な人間の用いるポリシイとして、知っているまでだ。私はたとえばどんなに罵られよ....
「故郷」より 著者:井上紅梅
りますからね。歩いて行って見つけ次第、あなたはそれを刺せばいい。こん畜生は馬鹿に
利巧な奴で、あべこべにあなたの方へ馳け出して来て、跨の下から逃げてゆきます。あい....
「余裕のことなど」より 著者:伊丹万作
うに考えるならば考えるほうがよつぽどどうかしている。 四郎のような抜けめのない
利巧な人間は世の中にはありあまつて困るくらいだ。しかし、源太はいない。鉦や太鼓で....
「草木の暗示から」より 著者:小川未明
識階級と名の付く者の中に、社会主義的精神の分らない者があったなら、其者は馬鹿とか
利巧とか評される前に恐らく良心がないかを疑われるであろう。正邪、善悪のあまり明か....
「童話の詩的価値」より 著者:小川未明
りは、相手の眼の色で、直に其の人の心持ちを読んでしまいます。 犬は動物の中でも
利巧で、最も感覚の敏捷なものです。而して、知らない人間が尾を踏んだり、叩いたり、....