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利慾
「利慾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
利慾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
拠である。食慾の外にも数え挙げれば、愛国心とか、宗教的感激とか、人道的精神とか、
利慾とか、名誉心とか、犯罪的本能とか――まだ死よりも強いものは沢山あるのに相違な....
「鼻」より 著者:ゴーゴリニコライ
なければ低くもない、が、懇々とした、非常に粘りづよい声で言った。「けっしてその、
利慾のために治療を施しているのではありません。それは手前の抱懐する主義と医術とに....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
ようとしているのであった。 人々は人々を疑った。そうして信仰を疑った。そうして
利慾に覚醒めて来た。 こうしてまたも一月経った。 光明優婆塞は帰って来なかっ....
「西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
でござります。彼の春見丈助利秋は元八百石も領しておりました立派な侍でありながら、
利慾のため人を殺して奪いました其の金で、悪運強く霊岸島川口町で大した身代になりま....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
るまい。利休は茶の精神は佗と寂との二つにある。価の高い器物を愛するのは、その心が
利慾を思うからだ。「欠けたる摺鉢にても、時の間に合ふを、茶道の本意。」だといった....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
って、一人ずつ世に生れて、また同一年、同一月日に、親兄弟、家眷親属、己が身勝手な
利慾のために、恋をせかれ、情を破られ、縁を断られて、同一思いで、狂死するわいの。....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
この世を辞してからというものは、千|恣百|怠沙汰の限りの態だ。売官売勲利権漁り、
利慾を喰わしては党を作り、威嚇を行っては異党を攻め、自己を非議する識者や学徒の、....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
行なったものとは思われぬ、何者に頼まれてこのようなことをしたか?」 「わたくしの
利慾からにござります。決して誰人にも頼まれましたのではなく……」 「黙れ、浅はか....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
は略々盤得尼と頃合だけれども、その相貌からうける印象と云えば、まず悉くが、打算と
利慾の中で呼吸している、常人以外のものではなかった。鋭く稜形に切りそがれた顴骨、....
「決闘」より 著者:神西清
二人が、補祭のように子供の時から不自由な目に逢って来たのだったら、無教育で薄情で
利慾に飢え、一片のパンのことでも口汚なく罵り、粗野で下等で床へ唾を吐きちらし、食....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
朴な」人間の心を喪失している。都の人達はみんな利己主義です。享楽主義です。自分の
利慾しか考えない。自分の享楽しか考えない。みんな自己本位の狭隘なる世界に立籠って....
「ある恋の話」より 著者:菊池寛
活が幸福でなかったのは勿論であります。その上、宗兵衛と云う男が、大分限者の癖に、
利慾一点張の男だったらしいから、本当の愛情を祖母に注がなかったのも、尤もでありま....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
の引出物として、かれに色ある小袖ひと重ねと練絹ひと巻とを取らせた。差しあたっての
利慾に、かれもしばらくは将来の不安を忘れて、あるじと姫とにうやうやしく礼を述べて....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
つ余りに潔癖であった。切めて山本伯の九牛一毛なりとも功名心があり、粘着力があり、
利慾心があり、かつその上に今少し鉄面皮であったなら、恐らく二葉亭は二葉亭四迷だけ....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
易々と攫んだ椿岳の奇才は天晴伊藤八兵衛の弟たるに恥じなかった。が、世間を思切って
利慾を捨てた椿岳は、猿が木から木へと木の実を捜して飛んで行くように、金儲けから金....