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到る所
「到る所〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
到る所の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
面の消息はほとんど一句も見当らなかった。その代り郷土の自然だの生活だのの叙述が、
到る所に美しい詠歎的な文字を並べていた。磯山《いそやま》の若葉の上には、もう夏ら....
「予報省告示」より 著者:海野十三
あり、而も地球植物、殊に可動植物は地球人類を服従|乃至《ないし》無力化せんとして
到る所に於て暴行を事とし、史上最高の暗黒時代である。 この混乱の究極に於て、智....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
昌と云っても、その頃の江戸市内に空地はめずらしくなかった。三百坪や四百坪の草原は
到る所にある。まして半分は田舎のような根津のあたりに、このくらいの草原を見るのは....
「聖書の読方」より 著者:内村鑑三
六節まで。 勿論以上を以て尽きない、全福音書を通じて直接間接に来世を語る言葉は
到る所に看出さる、而して是は単に非猶太的なる路加伝に就て言うたに過ぎない、新約聖....
「三角形の恐怖」より 著者:海野十三
く考えて見ますと、あれからのちは私自身が手を下さなくとも、細田氏は自分でいつでも
到る所、身のまわりに三角形の空間を見出して独りで三角形の恐怖を加速度的に増大させ....
「小田原陣」より 著者:菊池寛
雨は例年より遙かに長かったらしい。霧を伴い、亦屡々豪雨の降ったことは当時の戦記の
到る所に散見して見える。 十重二十重に囲まれ、その上連日の霖雨であるから、いく....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
すがに日本国は神国と申されるだけ、外国とは異って、それぞれ名の附いた、尊い神社が
到る所に見出されます。それ等の御本体を査べて見ますると、二た通りあるように存じま....
「小公女」より 著者:菊池寛
それに、いつもいつも間違った手掛りに迷わされていらしったんですの。でも、あの方は
到る所、あなたを探し廻ってらしったんですよ。あなたが、いたましい様子で通りかかる....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
寛自身である。彼は作家生涯を始めた時、イゴイズムの作家と云う貼り札を受けた。彼が
到る所にイゴイズムを見たのは、勿論このリアリズムに裏書きを与えるものであろう。が....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
私の心は、ウェッシントン夫人のことで常にいっぱいになっていたので、ジャッコの道の
到る所が、その昔ウェッシントン夫人と二人で歩いたり、話したりして通ったことを私に....
「バークレーより」より 著者:沖野岩三郎
人の追悼会場に於て博士エドワード・ビー・クラップの演説に、 我がカリフォルニヤの
到る所に、此のカムパニールの姿を眼に刻みつけ、その美しい鐘の音に胸を高鳴らせた人....
「郷愁」より 著者:織田作之助
、針を突き刺そうとした。ところが一昨日から続けざまにいろんな注射をして来たので、
到る所の皮下に注射液の固い層が出来て、針が通らない。思い切って入れようとすると、....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ある。我々はこれを遠ざけなければならんという妄説は、ただ一部の人の言うに止まらず
到る所にこの説が伝わって居ります。
ですからその後女王がお崩れになったというこ....
「美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
た、顔ばかりではない、夢中になって跳ねている姿が、やっぱり花そっくりだ、彼の全身
到る所に花の面影がある。 小夜子は軽い眩暈を感じた。もしや、夫がその面影を人知....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
、その希望の飛翔、愛へ、可能へ、そうして認識への強烈なその羽搏き。これらのものが
到る所で鉄の手に突き当たる。すなわち、人生の短さやその脆さや、制限された諸力や、....