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到底
「到底〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
到底の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
もとより理の当然である。その上また、次郎のほうでも、おれにひきくらべて考えれば、
到底あの女の誘惑に、勝てようとは思われない。いや、おれは、始終おれの醜い顔を恥じ....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
の上へ青い静脈をかがっていた。はにかみ易い信輔はたとい吸うことは出来たにもせよ、
到底叔母の乳などを吸うことは出来ないのに違いなかった。が、それにも関らずやはり隣....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
月夜《ほしづくよ》も見えないほど、前後左右から頸《うなじ》をのばした気味悪さは、
到底この世のものとは思われません。
が、その中でもさすがに摩利信乃法師《まりし....
「葱」より 著者:芥川竜之介
、もう一人年上の女給仕がある。これはお松《まつ》さんと云って、器量《きりょう》は
到底お君さんの敵ではない。まず白|麺麭《パン》と黒麺麭ほどの相違がある。だから一....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
に冷淡な態度を装《よそお》い出した。のみならず彼等の中《うち》の何者かが、彼には
到底及ばなくとも、かなり高い所まで矢を飛ばすと、反《かえ》ってその方へ賛辞を与え....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
かも知れない。が、兎に角「人間らしさ」にも動かされぬようになったとすれば、人生は
到底住するに堪えない精神病院に変りそうである。Swift の畢《つい》に発狂した....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
と云えば、それらを活々《いきいき》と描写する事は、単なる一学究たる自分にとって、
到底不可能な事だからである。
が、もし読者がそれに多少の困難を感ずるとすれば、....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
らもう一つ氷嚢をぶら下げさせた。 すると二時頃になって、藤岡蔵六が遊びに来た。
到底起きる気がしないから、横になったまま、いろいろ話していると、彼が三分ばかりの....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
燈の光に輝いた、人通りの多い往来はやはり僕には不快だった。殊に知り人に遇うことは
到底堪えられないのに違いなかった。僕は努めて暗い往来を選び、盗人のように歩いて行....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
なことが起ろうとも、決して声を出すのではないぞ。もし一言でも口を利いたら、お前は
到底仙人にはなれないものだと覚悟をしろ。好いか。天地が裂けても、黙っているのだぞ....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
世渡りの術に長じた奸物らしい気がしていた。「いやに傲慢な男です」などと云う非難は
到底受けそうもない気がしていた。それだけに悪口を云われた蛇笏は悪口を云われない連....
「佐藤春夫氏の事」より 著者:芥川竜之介
。詩を求めずして佐藤の作品を読むものは、猶|南瓜を食わんとして蒟蒻を買うが如し。
到底満足を得るの機会あるべからず。既に満足を得ず、而して後その南瓜ならざるを云々....
「恒藤恭氏」より 著者:芥川竜之介
活に対し、規則的なるよりも一層規則的に見えしなるべし。僕は恒藤の親友なりしかど、
到底彼の如くに几帳面なる事能わず、人並みに寝坊をし、人並みに夜更かしをし、凡庸に....
「初雪」より 著者:秋田滋
と思っていたのである。 十二月ももう末になってからのことである。こんなことでは
到底生きてゆかれぬと思ったので、彼女はある晩、良人に恐る恐る頼んでみた。 「ねえ....
「寡婦」より 著者:秋田滋
その頃十七でした。 この少年サンテーズが、どんなに驚くべき早熟の子であったか、
到底それは御想像もつきますまい。愛情というもののありと凡ゆる力、その一族の狂熱と....