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刳り
「刳り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
刳りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高山の雪」より 著者:小島烏水
》るので、刳られた崖が、椀を半分欠いたようになって、立っているのがそれだ。そこを
刳りつくすと、また雪がずり下りて、一段低い所へ同じものを作るので、日本北アルプス....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
わしているような土窟であった。壁も天然の土壌であるけれど、そこに棚のようなものを
刳りぬいて、食器らしいものがゴタゴタと並べてあった。 「さあ、見せて貰うか。――....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
て、あの前の廊下の中に入ったのだ。知ってのとおり両側の壁には、長方形をした龕形に
刳り込まれた壁灯が点されている。そこで、自分の姿を認められないために、まず区劃扉....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
った。氷のような冷たいものがひしひしと肌に逼って来る。洞窟の中は薄暗かった。岩を
刳り抜いて作られた龕から、獣油の灯が仄かに射し、石竹色の夢のような光明が、畳数に....
「温泉」より 著者:梶井基次郎
た。その巌丈な石の壁は豪雨のたびごとに汎濫する溪の水を支えとめるためで、その壁に
刳り抜かれた溪ぎわへの一つの出口がまた牢門そっくりなのであった。昼間その温泉に涵....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の間から蒼い海原がのぞきます。やがて行きついた所はそそり立つ大きな巌と巌との間を
刳りとったような狭い峡路で、その奥が深い深い洞窟になって居ります。そこが弟橘姫様....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
を見るのはどうした事だろうとある。それから六月十九日に、自分の一つしかない右眼を
刳り抜いて、天人像に欠けている左眼の中に入れた――とあるのだよ。所で、僕はフロイ....
「氷河」より 著者:黒島伝治
れみを乞うような声を出してきいた。 「あゝ。」 栗本の腕は、傷が癒えても、肉が
刳り取られたあとの窪んだ醜い禿は消す訳に行かなそうだった。 「福島はどうでしょう....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
る。しかし瞳には、これまで見たこともない異様な閃きがあった。まったく、そこだけが
刳り抜かれ、業そのもののような生気が皺の波からほとばしっている。冷視、憎悪、侮蔑....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
た。近付くままによく見れば、肥えた傴僂の老人が岩に一人腰掛けている。背後の岩壁を
刳り抜いてそこに灯皿が置いてあったが、そこで灯っている獣油の火が蒼然と四辺を照ら....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
員十六人が、髪縄で絞首されていた。髪縄の一端には分銅があり、他の一端は門の柱の、
刳り穴の中に没していた。 十六人のうち三人が、辛うじて蘇生をすることが出来た。....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
のは、明瞭な字紋様の創形と、それに到底人間業とは思われない――恰度精巧な轆轤で、
刳り上げたような一致が現われている事であって、またその二つが、左右とも微細な点に....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
お天気ですからね」と為さんこのところ少てれの気味。 お光は店を揚って、脱いだ両
刳りの駒下駄と傘とを、次の茶の間を通り抜けた縁側の隅の下駄箱へ蔵うと、着ていた秩....
「岩魚」より 著者:佐藤垢石
里の山路を急いで歩きはじめた。宿から数十町下ると、西川に渓流がさらに一段と谷底へ
刳り込まれ、滝となって落ちる崖の上の路へ出た。そこは、高い絶壁を境として路が右に....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
ましたね。で噴飯しましたよ、大笑いでさあ……いきなり拇指をグイと突込んで、ポンと
刳り出しましたよ、左の眼球を! アッハッハハハ』 ニコル氏は凄い声で呵々と大笑....