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「刷く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

刷くの前後の文節・文章を表示しています。該当する6件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
野さんそれゃあ大喜びなの……」 「へん! 随分助平な話ね。」 私はやけに頬紅を刷くと、大学生は薄い蒟蒻《こんにゃく》のような手を合せて、「怒った? かんにんし....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
つ、長く美しく、黒く艶やかに、芬と薫って、手繰り集めた杯の裡が、光るばかりに漆を刷く。と見ると、毛先がおのずから動いて、杯の縁を刎ね、灰に染めじ、と思う糸七の袖....
或る部落の五つの話」より 著者:佐左木俊郎
は灰鼠の色に、春先は暗紫色になり、そして春の終わりから夏の終わりまでは一色の緑を刷く雑木林の丘だった。雑木林のその単調な色彩に模様づけている若い杉杜の中に、その....
運命のSOS」より 著者:牧逸馬
く鳴り響いた。切れたロウプは、護謨糸を弾いたように空に唸って、桟橋の群集の頭上を刷く。タイタニックの航進によってその水路に吸引力が発生して、ニュウ・ヨウク号を吸....
京のその頃」より 著者:上村松園
も美しい女の人だった。 むくつけな男がいかつい手つきで刷いたのでは、どうも紅を刷くという感じが出ない。小町紅ではお嫁さんや娘さんや、絶えず若い美しい女の人がい....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
一 空はすでに朝。 地はまだ夜。 物売りの声も流れていない。 深淵を逆さに刷くような、紺碧《こんぺき》のふかい雲形――きょう一日の小春日を約束して、早暁《....