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刻み足
「刻み足〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
刻み足の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
《やぎ》の皮に被《かむ》る埃《ほこり》さえ目につかぬほどの奇麗《きれい》な靴を、
刻み足に運ばして甲野家の門に近づいて来る。 世を投《な》げ遣《や》りのだらりと....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
て両袖をしっかりと抱きあわせて、小刻みに足を早めて歩いて来ると、うしろから同じく
刻み足に尾《つ》けて来るような軽いひびきが微かにきこえた。お咲は水を浴びたように....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
人物、年格好は五十五、六、木綿の紋付に黄平の袴、左手に一刀を引っさげてスッスッと
刻み足に進んで来る。 「石渡氏、何事でござる! 子供を相手に木剣の立ち合い、不都....
「嬰寧」より 著者:田中貢太郎
いたか咲かないか、見て来ようよ。」 といって、急いで起ち、袖を口に当てながら、
刻み足で歩いていった。そして門の外へ出たかと思うと崩れるように大声を出して笑った....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
をどきつかせた。 ある日彼女が出かけようとしていたとき、階段を降りてくる小さな
刻み足の音が聞こえた。いつもより少し騒々しかった。子供の声が妹に向かって言ってい....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
ら証明された。 庭の茂が幽に揺れると、香具師風の若者が手拭でスッポリ顔を隠し、
刻み足をして現われたが、ぴったりと雨戸へ身を寄せた。 こういうことには慣れてい....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
出た。 既に刀は抜き持っている。 それを暗中で上段に構え、一刀に討ち取ろうと
刻み足して進んだ。 「来る気か」と先方の男が云った。 「可哀そうに……あったら命....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
て飛びのくや、小門を肩でグッーと押して、開いた隙から裏庭へはいった。背後下がりの
刻み足で、太刀は中段真の構え、兵馬の眉間へ、鋩子先をさしつけ、居つかぬ用意にシタ....
「それから」より 著者:夏目漱石
全く暗窖《あんこう》の裡《うち》に降下した。が、ただ独り夜を縫うミシンの針だけが
刻み足に頭の中を断えず通っていた事を自覚していた。ところがその音が何時かりんりん....