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刻み込む
「刻み込む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
刻み込むの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
どうして出来るものじゃない。自然の細刻だよ。風や水が何万年か経って岩石に巨人像を
刻み込むように、この像にも鎖されていた三年のうちに、傴僂を療してしまったものがあ....
「あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
子としたなら。――年限から言ってもそんなことはあり得ない。――彼女自身?――彼は
刻み込むような戦慄を感じた。――お柳とあの女との物柔かな声……蒼白い顔……頬の線....
「春の幻」より 著者:豊島与志雄
蠱惑的でまた力弱いことであろう! 其処に、春の歓楽と哀愁とがある。一の面影を石に
刻み込むだけの力強い執着は、この世界には存在し難い。一の面影から他の面影へと転々....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
一民族の中に、たとえば猛禽《もうきん》の倨傲《きょごう》貪欲《どんよく》な面影を
刻み込むときには、その地金は変化することがあっても、印刻はそのまま残るものである....
「映画と季感」より 著者:中井正一
ある。 映画のレンズが、人間の目に代わって物質の見かたをもって物質のフィルムに
刻み込むいろいろの形は、一九五〇年において、新たな人造人間的視覚として、その特異....
「南極の怪事」より 著者:押川春浪
もさらに毛布を重ねたり、されどなお寒さは凌ぐあたわず、一刻々々あたかも時計の針の
刻み込むごとく寒気の増しゆくは、船の一刻々々大氷山に近づくゆえならん、その寒さの....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
にちらちらちらちら炎だらけ。はッと後退りに飛ぶ拍子に慌ててつんというのが地の底へ
刻み込むように聞えるばかり。あッとも、きゃッとも声なんぞはしませんでした。門口へ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
って胃の薬も腸の薬も適度につまんで入れるし、十種も二十種も調合して、それは丹念に
刻み込むんだからね。あれがまた同じ処法でも、やはりコツがあるそうだよ。極めて精神....