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刻む
「刻む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
刻むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
ランプの油を吸い上げる音がした。それから机の上に載せた私の懐中時計が、細かく時を
刻む音がした。と思うとまたその中で、床の間の楊柳観音《ようりゅうかんのん》が身動....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
く、背を刮く……串刺じゃ、ししびしおじゃ。油で煮る、火炎で焼く、活きながら鱠にも
刻むげなの、やあ、殿。……餓じくばまだしもよ、栄耀ぐいの味醂蒸じゃ。 馴れれば....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
高さにさしあげ、壁とすれすれにそれを上下に動かしています。探偵の夜光時計が二分を
刻むごとに、彼は一歩ずつ左へ体をうつし、前と同じような恰好で蛍光板をのぞきこむの....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
くなってしまった。が、その様子は、どうやら耳を凝らしているように思われた。刻々と
刻む物懶げな振子の音とともに、地底から轟いて来るような、異様な音響が流れ来たので....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、アテナ洋墨や、日用品の唐墨の、筆、ペンなどでは追っつきそうに思われぬ。彫るにも
刻むにも、鋤と鍬だ。 さあ、持って来い、鋤と鍬だ。 これだと、勢い汗|膏の力....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
総曲輪から一筋道を、順繰に帰って来るので、それから一時騒がしい。水を汲む、胡瓜を
刻む。俎板とんとん庖丁チョキチョキ、出放題な、生欠伸をして大歎息を発する。翌日の....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
緑色の薄紗が幾重にも垂れ下っている。 その奥の方から、竹を伐る斧の音が忘我の時を
刻むごとく、ひびいている。…… 前舞台、左手より旅姿の石ノ上ノ文麻呂が現れる。し....
「誓之巻」より 著者:泉鏡花
も、ほかに申しません。」 ミリヤアドは目を塞ぎぬ。また一しきり、また一しきり、
刻むがごとき戸外の風。 予はあわただしく高津を呼びぬ。二人が掌左右より、ミリヤ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
、川が、米町川が、村の中を、すぐ宿の前を流れますが、谿河ながら玉を切るの、水晶を
刻むのと、黒い石、青い巌を削り添えて形容するような流ではありません。長さ五間ばか....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
痩せたのを高胡坐に組んで開き直る。 「震えるない震えるない、何もそう、鮭の天窓を
刻むようにぶりぶりするこたあねえ、なぐり込に来たのなら、襷がけで顱巻よ、剃刀でも....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
中ですもの、川の瀬の音は冥土へも響きそうで、そして蛇籠に当って砕ける波は、蓮華を
刻むように見えたんですって。……極楽も地獄も、近常さんには、もう夢中だったんです....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
の生活を送ったものが多年倹約して剰した蓄財を日に日に減らして行くは、骨を削り肉を
刻むに等しい堪えがたい苦痛であるのが当然で、何かにつけて愚痴の出るのも無理ではな....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
地が悪い。柱時計の音は、十を数え十一を数え、十二を数えた。山中の夜は静かで、針を
刻むセコンドは殊更に冴えて耳元に響く。やがて一時が鳴る。すぐ上の塒では一番鶏が啼....
「押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
は、やがて佐太郎の家のなかに消えた。ヒツソリとしていた家の厩のあたりから、馬草を
刻む音がきこえはじめた。 これはいつたいどうしたことだろう。どうも不思議だつた....
「角笛吹く子」より 著者:小川未明
つのおもしろい置き時計が目立っていました。 それは、ふくろうの置き時計で、秒を
刻むごとに、ふくろうの眼球が白くなったり、黒くなったりしたのです。 そして、時....