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刻薄
「刻薄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
刻薄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
は勿論学校を憎んだ。殊に拘束の多い中学を憎んだ。如何に門衛の喇叭《らっぱ》の音は
刻薄な響を伝えたであろう。如何に又グラウンドのポプラアは憂欝《ゆううつ》な色に茂....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
まひょうえ》の快癒も祈らざるを得なかった。
が、運命は飽くまでも、田岡甚太夫に
刻薄《こくはく》であった。彼の病は重《おも》りに重って、蘭袋《らんたい》の薬を貰....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
い声がどれほど善良な毛利先生につらかったか、――現に自分ですら今日《きょう》その
刻薄《こくはく》な響を想起すると、思わず耳を蔽《おお》いたくなる事は一再《いっさ....
「女」より 著者:芥川竜之介
き》に二三度|空《くう》を突いた。それが悲劇の終局であった。人間の死と変りない、
刻薄な悲劇の終局であった。――一瞬の後《のち》、蜂は紅い庚申薔薇の底に、嘴を伸ば....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
出した。血の中に宿っている生命の熱は宮本の教えた法則通り、一分一厘の狂いもなしに
刻薄《こくはく》に線路へ伝わっている。そのまた生命は誰のでも好《い》い、職に殉《....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
るがごとく緩漫《かんまん》であった。と同時にまた雲の峰が堰《せ》き止め難いごとく
刻薄であった。猪首の若者はまっ赤になって、狼《おおかみ》のように牙《きば》を噛み....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
覚えている。 四四 渾名 あらゆる東京の中学生が教師につける渾名ほど
刻薄に真実に迫るものはない。僕はあいにく今日ではそれらの渾名を忘れている。が、今....
「運命」より 著者:幸田露伴
勝つあるも、此令あるを以て、飛箭長槍、燕王を殪すに至らず。然りと雖も、小人の過や
刻薄、長者の過や寛厚、帝の過を観て帝の人となりを知るべし。 八月|耿炳文等兵三....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
であった。(同上) 張鬼子 洪州の州学正を勤めている張という男は、元来|
刻薄の生まれ付きである上に、年を取るに連れてそれがいよいよ激しくなって、生徒が休....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
せしめず、これを奴隷以下に置くことの俑を作りました。もし、農民が目下の検地の残忍
刻薄を恨むならば、当然、遡《さかのぼ》って徳川家康を恨まなければならない、家康を....
「盈虚」より 著者:中島敦
見て過した十年余りの中に、気まぐれで我が儘だった白面の貴公子が、何時《いつ》か、
刻薄で、ひねくれた中年の苦労人に成上っていた。 荒涼たる生活の中で、唯《ただ》....
「虎狩」より 著者:中島敦
大煥が気絶した男をいまいましそうに見下している、その眼と眼の間あたりに漂っている
刻薄《こくはく》な表情を眺めながら、私は、いつか講談か何かで読んだことのある「終....
「処女の木とアブ・サルガ」より 著者:野上豊一郎
なことは、彼は生涯の初めから終まで家庭的に苦悩しなければならなかった。性格の残忍
刻薄が主因だったから自業自得といえばそれまでだが、もっと根づよい因果的な、謂わば....
「怪しの館」より 著者:国枝史郎
眼。鼻の高さ形のよさ、高尚という言葉さながらである。どこか女性的の小さな口。唇は
刻薄に薄くもなく、さりとて卑しく厚くもない。で、やっぱり立派なのである。豊かな垂....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
もつづけて行く。」 鶴見の目の前には幻滅の夢の殻が残されているばかりである。「
刻薄の現実はどこまでも
刻薄であれよ。おれはそう思って、現実に抗して現実の無意義と....