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「剃る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

剃るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
た口紅が暗い赤さに乾いていた。唇のまわりには、うぶ毛が濃かった。 それが、顔を剃る気にもなれなかった茉莉の、昨日今日の悩みをふと物語っているように思われて、ま....
栗の花の咲くころ」より 著者:佐左木俊郎
い》って来て、嘉三郎の膝のところへ、一通の封書をぽんと投げて行った。嘉三郎は髭を剃るのをやめて封書を取り上げた。そして、嘉三郎は、驚異の眼を※《みは》りながら、....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
なってもまだ旧い夢のさめないような庄屋問屋は、一切外出を許さない、謹慎中は月代を剃ることも相成らない、病気たりとも医師の宅へ療養に罷り越すことも相成らない、もっ....
敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
と存じまして」 永「なに私は百姓だが、旅をする時にはむしゃくしゃして欝陶しいから剃るのじゃ、それに寺へ奉公をして居るから、頭を剃る事なぞは頓と構わぬじゃア」 又....
落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
う云いました。私も父も少なくとも三万円にはなると思っていたのです。私は、病のため剃ることも出来ないで白くのびた父のひげのあたりをみておりました。父も私の顔をみま....
牛若と弁慶」より 著者:楠山正雄
に手をかけて、こわい顔をして和尚さんをにらめました。 その勢いにおそれて、髪を剃ることは止めました。 牛若はこうしているとまた、 「坊さんになれ。」 とい....
勉強記」より 著者:坂口安吾
オンが床屋へ行くということを誰もきいた人がない。だから頭髪は刈るべきである。否、剃るべきであるのである。するともうきっと頭が良くなるのだ。――床屋の親父は迷惑し....
三十歳」より 著者:坂口安吾
る。ヒゲがあると、目まで濁る。陰鬱で、邪悪だ。 そのくせ不精な私は、却々ヒゲを剃ることができない。私のヒゲはかたいので、タオルでむす必要があるから、それが煩し....
町内の二天才」より 著者:坂口安吾
とばかし血がでるぜ」 「そいつはよくねえ。オレなんざア、ここ三十年、魚のウロコを剃るのにこれッぱかしも魚の肌に傷をつけたことがなかったな。カミソリなんてえものは....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
だ。猿飛佐助も霧隠才蔵も人を殺す必要がないのである。彼らは人をねむらせて頭の毛を剃るようなイタズラをやるが、いつでも睡らせることができるから、殺す必要はない。殺....
髭の謎」より 著者:小酒井不木
したが、病気のせいでしたでしょう」 「先生は毎日顔をお剃りになりましたか?」 「剃るのは嫌いな方でした」 「最近には、いつお剃りでしたでしょうか」 「寝ついた十....
おせん」より 著者:邦枝完二
がるんだろう。伝吉ァただの床屋じゃねえんだぜ。当時江戸で名高え笠森おせんの、襟を剃るなァおいらより外にゃ、広い江戸中に二人たねえんだ」 伝吉が駕籠の中で鼻の頭....
かもじの美術家」より 著者:神西清
かりかこの弟ぎみの顔は、一めんに瘤々だらけと来ているものですから、仮りにもそれを剃る段になったら、そこらじゅう切り疵だらけにせずには済まぬ始末だったのでした。 ....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
せという。昨日のことを忘れないのだ。母親も忙しい中を、剃刀出して「よしえ」の顔を剃る、髪を結ぶ、紅いリボンをかける。木綿の黄八丈はいつの間にか着せられて、友禅モ....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
髪を剃った坊さんが大いに驚いて冗談言っちゃあ困ると言う。なぜかと言いますと、髯を剃るということは大いに愚かな事である、せっかく生えたこういう立派な髯をどうして剃....