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削ぎ
「削ぎ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
削ぎの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「第四の夫から」より 著者:芥川竜之介
いかにも当惑したように涙を流しているばかりだった。僕はその時三人の夫に手代の鼻を
削ぎ落した後《のち》、ダアワの処置は悔恨《かいこん》の情のいかんに任《まか》せる....
「鼻」より 著者:ゴーゴリニコライ
、どこか隅っこに置いとこう。あとで俺が棄ててくるよ。」 「ええ、聞きたくもない!
削ぎとった鼻なんかを、この部屋に置いとくなんて、そんなことを私が承知するとでも思....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
憎らしい。それは内股から外股へ踏み運ぶ脚につれて、互い違いに太いズボン口へ向けて
削ぎ下った。 「薄情、馬鹿、生意気、恩知らず――」 こんな悪たれを胸の中に沸き....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
実五本だったのだよ。しかも、死体に十字を切らせるためには、それで死体を囲まずに、
削ぎ竹のように片側の蝋を削いだ丈の短い四本を周囲に並べて、その中央に、全長の半ば....
「縮図」より 著者:徳田秋声
しを助けることができたが、やがて彼女の細腕では持ちきれない時が来た。 やがて皮
削ぎ庖丁や縫針で、胼胝の出来た手で、鼓や太鼓の撥をもち、踊りも、梅にも春や藤娘、....
「過渡人」より 著者:豊島与志雄
じっと坐って居る。蒲団から投げ出している夫の手に彼女は時々触ってみる。器械に瓜を
削ぎ取られた妙な恰好の親指に。彼女の視線は落ちる。彼女は時々咳をする……。 ―....
「台湾の姿態」より 著者:豊島与志雄
える高山が主峯だけでも四十八ある。それらの峯は大体、岩層と風化との関係で、西方が
削ぎ取られて、謂わば西天に向って屹立している。然しそれらの峯を載せた中央山脈は、....
「秦の出発」より 著者:豊島与志雄
仲間を引き連れて、城内地区の裏町の薄暗がりで仲毅生を襲撃し、その左の耳を根本から
削ぎ取ってしまった。 この陳振東の心理の動きや仲毅生襲撃事件は、小説的に叙述す....
「平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
を押上げて現れて来た、年のころ四十ばかりの病み窶《やつ》れた女。 どこもここも
削ぎ取ったようになって、この身体に血が通《かよ》っているのか、蝋石色《ろうせきい....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
三尺の青竹を手元を直《すぐ》に切り……」 カチカチカチン。 「尖頭《さき》斜に
削ぎて采配の代りに持たれ、天下開けて、十九刎の兜の内に行者頭巾に鉢銑《はちがね》....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
。そしてその一言を聞いた同じ耳が、首手|枷のなかで群集の笑い物にさらされながら、
削ぎ落とされるのであった。 それは、怪奇の時代だった。おそらくは、エリザベス朝....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
のは出てまいりません。真の音色はどこからといえば――この横木の両端の力を、程よく
削ぎ取ってある弛みから生れてくるのでございまする。――わたくしが、粗末ながらこの....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
にさせられていた。 親房に接しると、彼女は、先帝の大どかさやよけいな肉をすべて
削ぎ去った知性と信念の凝りかたまりを見るようで、いつも一種のきびしさに打たれる。....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
高さは二間ばかりと覚しく、下を覗いてみると、あたかも小竹原を伐り払った跡らしく、
削ぎ立った夥しい切株が絶好の鹿砦を形造っている。 「もしこの下を敵が駈け通らば、....
「正倉院展を観る」より 著者:吉川英治
技はいまどこへいってしまったのか。 竹製のハジキ弓にもおなじ感をおぼえた。竹の
削ぎ肌になんともいえない稜線と神経がとおっている。やれ古伊賀のヘラだの光悦茶碗の....