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前借
「前借〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
前借の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
京へ行《ゆ》かなければならぬ。こう云う生活欲に駆《か》られていた彼は勿論原稿料の
前借《ぜんしゃく》をしたり、父母兄弟に世話を焼かせたりした。それでもまだ金の足《....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
すむぎ》が売れた時事務所から直接に代価を支払うようにするからといって、麦や大豆の
前借りをした。そして馬力を頼んでそれを自分の小屋に運ばして置いて、賭場《とば》に....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
そで》を振りける? 魚は木に縁《よ》りて求むべからず、渠は他日の興行を質入れして
前借りしたりしなり。 その一年、その二年は、とにもかくにもかくのごとき算段によ....
「放浪」より 著者:織田作之助
行った由きいたので後を追うて行きたいと思っていた。その女給に通う為に丸亀に月給の
前借が四月分あるが、踏み倒す魂胆であった。 その夜、二人でカフェへ行った。傍へ....
「競馬」より 著者:織田作之助
望があるところが競馬のありがたさだと言っていた作家も、六日目にはもう印税や稿料の
前借がきかなくなったのか、とうとう姿を見せなかった。が、寺田だけは高利貸の金を借....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
など大変な物入りで、のみこんで抱主《かかえぬし》が出してくれるのはいいが、それは
前借になるから、いわば蝶子を縛《しば》る勘定《かんじょう》になると、反対した。が....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
やろ) 若い部下のはなやかな活動を想像して、全く上機嫌だった。丁度その時土門が
前借の印を求めに来たので、盲印を押してやるぐらいだった。 電話を掛け終ると、豹....
「滝田哲太郎氏」より 著者:芥川竜之介
僕の滝田君に何よりも感謝したいと思うことである。 僕は又中央公論社から原稿料を
前借する為に時々滝田君を煩わした。何でも始めに
前借したのは十円前後の金だったであ....
「水鬼」より 著者:岡本綺堂
近いある町の料理屋へ酌婦に住み込んでいたのです。わたくしはすぐに駈けつけて、その
前借金を償って、一旦実家へ連れて帰ったのですが、ふた月三月はおとなしくしているか....
「鯉」より 著者:岡本綺堂
門がここへ通りあわせて、鯉の命乞いに出たという次第。桃井の屋敷は和泉屋によほどの
前借がある。その主人がこうして頼むのを、弥三郎も無下に刎ねつけるわけには行かなか....
「妖婦」より 著者:織田作之助
強い反抗もしなかった。 安子はやがて新太郎に連れられて横浜へ行き芸者になった。
前借金の大半は新太郎がまき上げた。この時安子は十八歳であった。....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
かへ出て行った。「嫁にやった」のだと浩さんは言ったが、誰も信用しなかった。「また
前借踏みたおして三日もすると逃げて来ンだっぺ」と村人は噂していた。ところで一方、....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
たので、彼もちょっと心ひかれて、どうした事情かと訊いてみる気になった。 小僧は
前借で行っていた埼玉在の紡績会社を逃げだしてきたのだ。小僧は、「あまり労働が辛い....
「とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
売先からの勘定は取れず、貸越し貸越しになり、それに引きかえ荷方からは頻りに勘定の
前借りを申込まれる。小笹屋は河岸でも旧い問屋であり、父親の抜目の無い財産の建て方....
「放浪」より 著者:織田作之助
った由きいたので、後を追うて行きたいと思っていた。その女給に通う為に丸亀に月給の
前借が四月分あるが、踏み倒す魂胆であった。 その夜、二人でカフェへ行った。傍へ....