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前先
「前先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
前先の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「酒中日記」より 著者:国木田独歩
だろう」 「直ぐお寝《やす》みなさいな」 「イヤ帳簿の調査《しらべ》もあるからお
前先へ寝ておくれ」と言って自分は八畳の間に入り机に向った。然し妻は容易に寝そうも....
「業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
》に「い」の字が小さく角《すみ》の方に書いてあるから」 文「こゝに違いない、手
前先へ入れ」 森「御免なさい」 と腰障子を開けると漸《やっ》と畳は五畳ばかり....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
あった。 と、卜伝が耳を傾げた。 「はてな?」と彼は口の中で云った。「蔵人、お
前先へ行け」 「何故だ?」と蔵人は訊き返した。 「並んで歩いては険難だ。なんでも....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
下「内儀さんは最う出て仕舞いましたよ」目科は驚きたる風を示し「其様な筈は無いよお
前先程来た己の顔を忘れたな下「いえ爾では有ませんが、全く内儀は出て仕舞たのです、....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
してやろう、こゝで余った肴を折へ詰めて先へ帰れ、己は神原の小屋に用があるから、手
前先へ帰って、旦那さまは神原さまのお小屋で御酒が始まって、私だけ先へ帰りました、....
「伊太利亜の古陶」より 著者:宮本百合子
れたものであるのに、一向気付かなかった。彼は、辞し去る間際に迄、 「一寸。――お
前先に……」 と云って側棚の前に立った。瞬間を惜む彼の瞥見に、疑問のジョルジョの....
「小祝の一家」より 著者:宮本百合子
ゆっくりと自分の唇を上唇、下唇となめまわした。 「――じゃ手紙書いてやろう……お
前先へねれ」 勉は、貞之助へ手紙を書き、それから別に長いことかかって薄い紙に何....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
したよ、旦那え、おみねや、音も沙汰もねえぜ」 みね「それだからいやだよ」 伴「手
前先へ入れ、手前はこゝの内の勝手をよく知っているじゃアねえか」 みね「怖い時は勝....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
も婆さまは仰山な事を云って己ア本当に魂消るよ、まア静かに」 婆「静かにたって、お
前先刻茂左衞門が家へ来ての話に、敵の水司又市が深川の富川町で按摩取に成ってると云....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
運丸と永島丸とありまして、永島の方は競争して大勉強でございます。 幸「さア/\お
前先へ這入んなよ」 由「宜うございますから、荷物は後からとして……上等の方は何方....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
賀の江戸屋で御馳走になって泊っているが、明日は早く帰ります、他に用がある積りでお
前先へ帰んな、帰ってもお母さんに詰らんことを云いなさんな」 馬「宜しゅうございま....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
》に、どこか凜《りん》として冒すべからざるところの仄《ほの》見えるのは、この、生
前先生ののぞまれたとおりに、勇烈|確乎《かっこ》たる大精神が、この荒磯の襖ととも....
「南島譚」より 著者:中島敦
あろう。そうだ。※であった。何故こんな贈り物を私が受けるのかと聞くと、爺さんが生
前先生には大変お世話になったと言っていましたから、と言った。何故三羽も――それも....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
ますつもりでございましたが、大きに遅くなりました」 侍「いや存じの外早かった、手
前先程から其処に居たか、また今帰って来たか」 舁「へえ今……もう少し先刻のような....
「雪の日」より 著者:近松秋江
に馴れっこになってしまったのかもしれぬ。私はそれがいずれとも分らなかった。 「お
前先の人と別れた時には泣いたと言ったねえ」 「ええ、それゃ泣きましたさ」 「私と....