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前半生
「前半生〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
前半生の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「さようなら」より 著者:田中英光
続約十年、事務員に昇格し算盤《そろばん》の名手として銀行内に名高い、というような
前半生から、ぼくは彼女が苦労しぬいてきた娘として、ぼくを献身的に優しく、ぼくの知....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
可愛がられまして、此通り真黒でございます」と頬を撫でる。気の利いた口のきゝぶり、
前半生に面白い話を持て居そうな女だ。負ってあるく荷は十貫目からあると云う。細君が....
「死までを語る」より 著者:直木三十五
自叙伝 一 大草実君が 「直木さん、九月号から一つ、
前半生記と云うような物を、書いてくれませんか」 と云ってきた。私は、今年四十二....
「マダム貞奴」より 著者:長谷川時雨
とは残しておいてやった方がよいと言うものがあるかも知れない。それは貞奴の生涯の、
前半生の頁《ページ》だけを繰ってそれで足れりとする人のいう事である。何にも完全は....
「意欲の窒息」より 著者:豊島与志雄
後彼がどういう風になるか、それは作者デュアメル以外に誰も知らない。がサラヴァンの
前半生、「深夜の告白」や「新らしき邂逅」の中のサラヴァンは、神経衰弱以外の何物で....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
、自分がディーニュの司教に任ぜられたのを知って驚いたのであった。
ミリエル氏の
前半生について伝えられた話のうち、結局どれだけが真実であったろうか、それはだれに....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
しているかもしれない。 阿Qは姓名も原籍も少々あいまいであった。のみならず彼の
前半生の「行状」もまたあいまいであった。それというのも未荘の人達はただ阿Qをコキ....
「智恵子の半生」より 著者:高村光太郎
たようであるが実際はもっと素朴で無頓着であったのだろうと想像する。 私は彼女の
前半生を殆ど全く知らないと言っていい。彼女について私が知っているのは紹介されて彼....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
を抛ち、義理ある父母を棄てた浩平はそのまま工夫の群に姿を隠したがいつの間にかその
前半生の歴史をくらましてしもうた。彼が野獣のような工夫の団結を見事に造り上げて、....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
は悠然としてひとり朝飯をやっていた。久しぶりで彼は酔っぱらってさえいた。 彼の
前半生は――といってももはや後半生も残り少なになっているのであるが――かかること....
「随筆 寄席囃子」より 著者:正岡容
う。そのうち左楽老人にでも、とっくりと聴いて見たいと思っている。よほど、小説的な
前半生があるのかもしれない。 さて宝塚から新国劇へと転じたかつての婚約者には十....
「扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
中年男の逞ましい意旨だけが、大きく瞠いた眼と、膨れた鼻孔とに読めました。 「私も
前半生に於て痛切な勉強をしたものです」と彼は小さく声を低めて云いました。 私は....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
乞食坊主でもなかった。いわば僧形に身をやつした風流の隠士だったのである。 彼の
前半生は全く不明である。出家は二十三歳のとき、崇徳天皇の保延六年で、真言宗である....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
たローマンチックな血気に対して彼はみずから戦わねばならなかった。ベートーヴェンの
前半生の作品には、その最も高いものの中にさえ、崇高な『エロイカ』の中にさえ、なお....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
ーおよびリース共著――『ベートーヴェンに関する伝記的覚え書』特にベートーヴェンの
前半生について重要。仏訳は一八六二年に出て現在は絶版。 Ludwig Nohl.....