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「前妻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

前妻の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
足迹」より 著者:徳田秋声
かの金をかけて引っ張って来た老爺の手から、幾度となく逃げて行った。今茲十三になる前妻の女の子は、お庄がここに来ることになってから、間もなく鳥越にいる叔母の方へ預....
渋江抽斎」より 著者:森鴎外
月七日に唐津藩士|大沢正の女蝶を娶った。嘉永二年|生で二十三歳である。これより先前妻鉄は幾多の葛藤を経た後に離別せられていた。 優善は七月十七日に庶務局詰に転....
黒白ストーリー」より 著者:杉山萠円
た。 手錠をかけられた男は恐ろしく面を膨らした。 眼科の開業医丸山養策は数年前妻を喪ってから独身で暮して、一人娘の音絵にあらゆる愛を注いだ。 音絵は当年十....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
れが顔をかがみで見るまで、自惚れての。何と、早や懐中に抱いた気で、お稲はその身の前妻じゃ。―― との、まだお稲が死なぬ前に、ちゃッと祝言した花嫁御寮に向うての....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
かぬ御難なのだから、待遇も態度も、河原の砂から拾って来たような体であったが、実は前妻のその狂女がもうけた、実子で、しかも長男で、この生れたて変なのが、やや育って....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
家のこの財産にあるのだということは、何人よりも、深く伊太夫は観念しているのです。前妻の子と後妻の子とに蟠《わだかま》りがあるのも、後妻とお銀様との間が火水のよう....
母の上京」より 著者:坂口安吾
、年齢が年齢だから、入社の浅い割には然るべき地位であつたと云へる。空襲の始まる直前妻子を故郷へ帰したが、空襲で焼け、会社の世話で小さな借家へ同居するやうになつて....
前妻の怪異」より 著者:田中貢太郎
鬱な一家を明るくするに充分であった。 後妻はまた夫を促して、児を伴れ、毎月必ず前妻の墓へ往った。そのうちに前妻の三周忌が近くなった。その時、児は夜半に便所へ起....
安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
下に窮民なく、人々家庭の楽あるは太平の恵沢である。家に良妻ある程幸福はない。私の前妻節子は佐原伊能氏の娘で、実に貞淑であり、私の成功は一にその内助に依り、その上....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
、社会問題、人生問題、なんでもやるんですからね。」 友人の話を総合すると、数年前妻に死なれてから、彼のそうした新生活がはじまったとのことだった。婿であった彼は....
藍微塵の衣服」より 著者:田中貢太郎
白い痩せた手をしとやかに突いて、私の方へ向いてお辞儀するのですよ」 老人はすぐ前妻ではないかと思ったが、それは口へは出さなかった。そして、所天を呼びにやって所....
頼朝の最後」より 著者:田中貢太郎
れて六郎は急いで政子の前へ出た。この六郎は畠山次郎|重忠の子六郎|重保で、時政の前妻の女の腹に生れた者であった。 「上様の寝所を覘う怪しい者があると云うから、お....