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前帯
「前帯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
前帯の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
ました。続いて柳橋のお村の母お崎|婆《ばゞあ》が隠居らしく小紋の衣物《きもの》で
前帯にしめて、前へのこ/\出て来た。 友「おやお村、お母《っかあ》も」 お崎....
「党生活者」より 著者:小林多喜二
ほど拍車がかけられていた。前には仕事をしながら隣りと話も出来たし、キヌちゃん式に
前帯に手鏡を吊《つる》して、時々|覗《のぞ》きこむことが出来たが、今ではポタ/\....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
どの顔も面白いフイルムのようだ。肉皿を持って、梯子段を上ったり降りたりして、私の
前帯の中も、それに並行して少しずつお金でふくらんで来る。どこを貧乏風が吹くかと、....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
、夜の物を揚げあえず楊枝《ようじ》を口へ頬張《ほおば》り故手拭《ふるてぬぐい》を
前帯に※《はさ》んで、周章《あわて》て二階を降りる。その足音を聞きつけてか、奥の....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
、地は涯ない白さであった。それでも万一のために乾飯《ほしいい》を腰につけ、磁石を
前帯にはさんでいた。
この道は、高倉にとっては馴染《なじ》み深いものであった。....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
箱屋のはじまりは、「江戸職人づくし」によると、突込髪にした婆が三味線箱を背負い、
前帯に褄をはしょり、素足に下駄を突っかけて片手には小丸提灯、夜道を照らしつつ先立....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
姥の声に、女房がちょっと会釈する時、束髪の鬢が戦いで、前を急ぐか、そのまま通る。
前帯をしゃんとした細腰を、廂にぶらさがるようにして、綻びた脇の下から、狂人の嘉吉....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
て、 「島田も可いこと、それなりで角かくしをさしたいようだわ……ああ、でも扱帯を
前帯じゃどう。遊女のようではなくって、」 「構わないの、お稲さんが寝衣の処だから....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
かはすがやかだった、痩《や》せてはいたが色白な、背の高い女で、黒じゅすの細い帯を
前帯に結んでいた、小さいおちょこで二ツお酒をのんで、田所町の和田平か、小伝馬《こ....
「土地」より 著者:豊島与志雄
そして大凡見えるだけの小石が無くなると、ぬぎ捨てておいた下駄を片手にさげ、片手を
前帯の間につっ込みながら、真直に村の方へ帰っていった。 翌日朝早くから、また平....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
たどの顔も、面白いフィルムだ。 肉皿を持って、梯子段を上がったり降りたり、私の
前帯の中も、それに並行して少しずゝふくらんで来る。 どこを貧乏風が吹くかと、部....
「平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
生きていた里春 仙台平《せんだいひら》の袴に麻上下《あさがみしも》、黒繻子
前帯《くろじゅすまえおび》の御寮人《ごりょうじん》、絽《ろ》の振袖に錦の帯。織る....
「米国の松王劇」より 著者:岡本綺堂
をつれて来る。すべて本文とちっとも変えずに遣っていました。千代は型通りの黒紋付に
前帯で、扇を持って出ます。戸浪はバルバラ・ガーネー、千代はヘレン・エデーという女....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
て、武者修行に出ているとみえる。……今会ったら、変っているだろうな」 両手を、
前帯へ突っこんで、草履の先で石を蹴る。その石の一つ一つに、彼は友達の顔を、眼にえ....